2024年2月22日(木)

#財政危機と闘います

2021年10月25日

 このように、働く人が減る社会にあっては、所得税を基幹税(税制における中心的な税)に据えたままであれば、社会保障などの行政サービスをスリム化して歳出レベルを下げない限り、勤労世代の負担が増していく一方となる。しかし、一般的に、少子高齢社会では、社会保障の需要が増すので、他の支出を削ってもトータルで見た歳出レベルが増えてしまうことが十分予想できる。

(2)消費税の場合

 そこで、所得税のように勤労世代にのみ負担を課すのではなく、勤労世代も高齢世代も全国民が一様に負担する消費税を導入した場合を考えてみよう。

 消費は、全国民が行うので、消費税の場合、全国民が負担者となる。したがって、少子高齢化が進行する前の国民一人当たり負担は800÷100=8であるのに対して、少子高齢化が進行した後の国民一人当たりの負担は2400÷100=24となる。消費税の場合、少子高齢化の進行前後での勤労世代の負担は3倍にとどまる。

(3)消費税は勤労世代の負担を軽減する

 所得税から消費税へ税制を変更する場合、少子高齢化進行後の勤労世代の負担を比較すると、勤労世代の負担は60から24へ36軽減され、引退世代の負担は0から24へ24増加することになる。

 このように、少子高齢化が進行する社会にあっては、所得税を基幹税としたまま据え置くと、勤労世代の負担増は不可避となる。勤労世代の負担増加は、少子化を招くことになるので、税制変更がない場合、少子化の進行が勤労世代のさらなる負担増を惹起し、それがまた少子化を加速する少子化スパイラルに陥ってしまう。これでは、国の存続が難しくなってしまう。

 そこで、少子高齢化が進行する社会では、所得税から消費税への転換が合理的となるのである。これこそが、政府が消費税を少子高齢化時代にふさわしい税制と呼ぶ理由と言える。

所得税だけでは、子どもたちの負担は今の1.35倍に!

 日本では、今後猛烈な勢いで少子化、高齢化が進行する。現在、0から14歳までの子どもたちが労働力として社会に出る2040年を考えると、20歳から64歳までの勤労者は0.80倍となり、65歳以上の高齢者は1.08倍、総人口は0.88倍になると見込まれている。

 つまり、高齢者一人当たりの給付水準を固定するにしても、財源を所得税に頼る税収構造を維持するならば、子どもたちの負担は1.35倍にならざるを得ない。一方、消費税を根幹に据えるなら1.23倍で済む。消費税によって子どもたちの負担が軽減されることが理解できるだろう。

 裏を返せば、先の試算例で見た通り、所得税から消費税への転換によって勤労世代の負担は減るものの、引退世代の負担は増えるため、当然、政治的な摩擦が発生することになる。いわゆるシルバーデモクラシーの存在を念頭に置けば、野党が、消費税減税(廃止)を唱えるのは、高齢者に迎合し、目先の票を確保するための党利党略に他ならない。


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