財源の裏付けのない子育て支援策は詐欺
同様のことは、子育て世代の票を取り込もうと、安定財源の裏付けのない子育て支援策の新設・拡充を乱発することにも当てはまる。なぜなら、財源がないということは当面赤字国債で財源を賄わざるを得ない。
赤字国債は発行から60年後にようやく全額償還されるので、子どもたちが子育て支援や教育の拡充で便益を受けたとしても、それを返すのは結局子どもたちなのだ。子どもたちに便益を施すとしても、費用の出どころが子どもたちのポケットからくすねたお金なのであれば、詐欺同然の行為と言えるだろう。
こうした財源の裏付けもなく、赤字国債や経済成長頼みのバラマキが、財政に与える影響を試算したところ、今年3月の50.0%から53.6%と4ポイント程度悪化するとの結果が得られた(財政「破綻確率」については、「「10年後の破綻確率50%!」ギャンブルを続ける日本財政」を参照)。
この悪化幅4ポイントを小さいとみるか大きいとみるかは評価の分かれるところだろうが、財政「破綻」が近づいたことは否定できない事実であろう。
バラマキにNo!
今回の政権選択選挙で与党野党問わず本来国民に提示すべきは、見境のないバラマキではなく、便益は自分たちが食いつぶし、費用だけを私たちの子どもたちに付け回す赤字垂れ流しの財政・社会保障制度の抜本的な改革案であり、財政破綻を避け、財政規律を回復させる道筋である。
未来ある子どもたちに健全な財政を受け継ぐ覚悟をもって、バラマキにNo!と言おう。