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2021年3月16日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

中部圏社会経済研究所研究部長

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。2015年4月から現職。

日本財政は未曽有の規模で悪化

(Ca-ssis/gettyimages)

 新型コロナ禍に対処するため、3度、補正予算が編成された結果、2020年度の一般会計歳出予算額は、当初予算額102.7兆円から73兆円増の175.7兆円となった。2021年度の一般会計歳出予算額(当初予算案)は、前年度から73兆円削減されたものの102.7兆円と、9年連続で過去最大を更新した。このように、日本財政は、2019年度から3年連続で100兆円を超えるなど、未曽有の規模で拡大・悪化している。

累増する国債残高

 バブル崩壊以降の日本経済は低迷を続け、2010年代の平均経済成長率は名目1.0%、実質0.8%となっている。現代の日本は、かつてのような高い経済成長が見込めず、財政赤字という「借金」を経済成長による税の自然増収で賄うのが非常に困難な状況に陥っている。

 この結果、図表2のように、国の債務残高が累増し、日本財政の持続可能性が危惧される事態となっている。

財政破綻確率シミュレーションの概要

 このように、新型コロナ対策により、国の財政が悪化したことを受けて、国の「財政破綻確率」を、経済理論との整合性が極めて高く、経済構造と政策やショックの波及経路が明示されるDSGEモデルを用いて、現在の一般会計の歳出歳入構造が今後も継続するものとした場合、日本財政が将来的にも持続可能なのか否か、シミュレーション分析を行い、「財政破綻確率」を推計した。

 具体的には、5000回実行したシミュレーションにおいて、今年度から10年後の2031年度と20年後の2041年度までに、国の債務残高対名目GDP比が、トレンドから乖離して、一定値を超えた回数を「財政破綻確率」とみなして計算した。

 ここでは、10年後(20年後)の国の債務残高対名目GDP比が、足元時点(2021年度)の176.9%の2倍超に相当する400%を基準に設定し、さらに財政破綻判定をより緩やかに行うケースとして、500%についても想定した(図表3)。

 シミュレーション結果によれば、現状の歳出歳入構造を維持したままであれば、国の財政が10年後に破綻する確率は50.0%(判定基準1)と試算された。より緩やかな判定基準2では45.4%となっている(図表4)。

 いずれの判定基準によっても、財政破綻確率が50%程度となっており、税財源の裏付けもなく歳出拡大に走っている日本財政は、丁半博打のようなギャンブルをしているのと同じである。

 さらに、20年後に国の財政が破綻する確率は60.0%(判定基準1)、56.3%(判定基準2)と、より緩やかな判定基準でも50%を超える結果となっている。何らの対策も施さずに財政を現状のまま放置しておけば、時間の経過とともに状況が悪化することが分かる。

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