2022年12月5日(月)

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2021年3月16日

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島澤 諭 (しまさわ・まなぶ)

関東学院大学経済学部教授

富山県生まれ。1994年東京大学経済学部卒業 同年4月経済企画庁入庁。調査局内国調査第一課、総合計画局計量班、調査局国際経済第一課等を経て2001年内閣府退官。02年秋田経済法科大学経済学部専任講師、04年10月秋田大学教育文化学部准教授。15年4月から中部圏社会経済研究所研究部長を経て、22年4月より現職。

歳出規模の拡大にタガをはめよ

 経済危機時には、歳出規模を拡大することで、国民の暮らしを守る必要があることは言うまでもない。問題は、経済危機が去った後である。これまでの日本財政の問題は、経済危機に対応して財政規模を拡大する一方で、経済危機が去った後も元の水準に財政規模を戻さなかった点にある。

 バブル崩壊以降、景気拡張期は平均すると49カ月と4年超となっている。経済危機が去って景気が回復した4年間で、歳出規模を経済危機発生前にまで戻すことをルール化したり、歳出をGDP比で固定するなど、歳出規模の拡大にタガをはめる仕組みを予め措置しておくべきである。あるいは、現行の単年度主義の予算編成を見直して、数年度にまたがる予算を総額を設定して編成し、その枠を守りつつ、景気変動にも対応することで、財政規律の維持との両立を図ることも考えられる。

財政健全化の「旗」を絶対に降ろしてはならない

 重要なのは、新型コロナの経済、財政への影響について、新型コロナ禍が過ぎ去った後、いかにして財政規律を回復させていくのか、その道筋を政府が国民に分かりやすく説明することである。

 一定の条件の下のシミュレーションとはいえ、10年後の財政破綻確率が50.0%と、日本財政は2031年度までには破綻が半々とも言える危険水域にあり、破綻危機を避けようと思えば、現在10%の消費税率を30%にまで20%ポイントも今後10年の間に引き上げる前代未聞の大ナタを振るわなければならないことが示されたことを踏まえれば、日本財政はいつ破綻してもおかしくない状況にある。

 それにもかかわらず、国全体が、確実に勝ち続けられるとの根拠がないままに、財政破綻しない方にベットするギャンブルに興じているに等しい、非常に危機的な状況にある。したがって、税収の裏付けもなく、こうした破綻トレンドに乗っている日本財政に更なる歳出拡大圧力をかけ続けるのは回避すべきである。

 今年は、秋までには衆議院議員選挙が行われる。新型コロナウイルス対策で深刻なダメージを被った日本経済をどう立て直すかだけでなく、与野党は、非常時対応の財政から通常時の財政へ、そして財政健全化に至る道筋を国民に提示して、しっかりとした政策競争が行われることを期待したい。

 財政健全化の「旗」を絶対に降ろしてはならない。

「さらに詳しく知りたい方はこちらをご覧ください」
https://criser.jp/bunnseki/documents/29_report_gyanburuwotudukerunihonzaisei_2021.03.09.pdf

  
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