金融機関の経営危機・経営破綻により、特に地方では、地域向け国内向け生産を主に行う地場企業の連鎖倒産を惹起する。企業の倒産やリストラで職を失った失業者や、銀行の破たんや失業、金利高騰によって変動金利で借りていた住宅ローンが返せなくなる世帯が激増し、街には失業者やホームレスであふれ、治安の悪化が懸念される。
社会保障はじめ行政サービスが崩壊
国からの財政拠出に依存している社会保障制度も同時に危機に瀕しているので、失業者やホームレスに十分な生活保護を届けることができない。年金や医療、介護にも十分な資金が行き渡らなくなるので、医療や介護サービスが崩壊し、多くの高齢者が路頭に迷うこととなる。現役世帯は突如貧困や介護難民に陥った老親の面倒もみなければならなくなるものの、その余裕のある現役世帯はごくわずか。
これまでの放漫財政から超緊縮財政に転換せざるを得ない国は、地方交付税交付金や自治体への補助金を削減する。地方は、自治体の貯金にあたる財政調整基金による穴埋めが必要となるが、そもそも財政調整基金に余裕がない自治体は、緊急の特例措置として公務員の解雇や給与カットなどの人件費削減を行わざるを得ない。
その結果、私たちの日常生活に密着するさまざまな行政サービス分野で量も質も低下し、ライフラインの維持すら難しくなる。例えば、警察や消防の機能不全により治安が悪化し、刑務所の維持も難しくなるので、10万円未満相当の窃盗などは実質的に無罪放免となるなど、犯罪が横行する。
救急車やゴミ収集は料金制となり、金銭的な理由から急病でも救急車が利用できなかったり、不法投棄でゴミが街中に散乱するといった事態が発生する。さらに、バスや地下鉄など公共交通機関が値上がりするか、本数が激減するので、利用しにくくなる。
公共工事も減らされるので、道路の建設がストップし道路の開通が大幅に遅れたり、多少の穴があっても補修が行われずに放置されたりして道路が荒れ放題になる。さらに、さまざまな公社や公団への自治体などからの補助が打ち切られ、公営住宅の荒廃が進む。
生活が不便となった自治体からは、より移動力のある現役世代から順に脱出を試みる。現役世代は自治体を、納税、労働力として企業活動、社会活動という面から支えているので、流出は自治体の高齢化を一層高め、存立基盤を脅かす。場合によっては自治体の倒産やゴーストタウン化が避けられない。
将来を担う頭脳と重要インフラを失う
政府の歳出削減に伴い、国庫負担金や運営交付金の抑制など未来への投資である教育予算も減らされる。なかでも、国公立高校・大学・大学院の学費は急上昇するし、私立学校の多くは国からの補助金が失われ倒産の危機に瀕する。
また、現状でも少ない国からの研究資金の多くは打ち切られ、優秀な研究者の多くは海外の大学・研究機関から、日本にとどまるよりは圧倒的に好条件のオファーを受け、頭脳流出が加速する。
財政破綻を機に領土膨張的な国が日本の領土に侵攻する危険性が高まる。なぜなら、有事の際には資金が必要になるが、その資金を工面できなくなってしまうからだ。