そして、竹井はミチルに携帯電話をかけて、一緒にミチルのフィアンセを処理した高倉が自殺したことを告げるのである。
上京後に頼って、竹井の部屋にころがりこんだミチルであった。不倫相手の豊増に対して、竹井は「ゲイ」だから大丈夫といっていた。
その竹井に恋人の高倉が現れる。
子どものころは、ミチルにまとわりつくように従っていた竹井が、殺人現場の血で汚れた床を冷静にふき取る様に、意外な感じにとらわれる。
長崎の小さな町の書店員だった、明るい性格のミチルが、竹井によって追いつめられていく。
演技派・戸田恵梨香が演じる「平凡な女性」
戸田恵梨香は、子役からの演技歴は長い。成人になってからも、脇役で演技力を磨いて、主演級になった女優である。現代を代表する美貌の女優のひとりであることは間違いない。
それでありながら、平凡な女性の感情の揺れを表現できる演技派でもあると思う。
「女優の恐怖の表情を撮るのが楽しみである」と、ヒッチコックは語ったという。
「書店員」のなかで、戸田恵梨香はラストに向かってどのような恐怖を味わうのであろうか。そして、語りの夫役の大森南朋はどのように登場して、ミチルを幸せに導くのだろう。
極上のサスペンスは、ハッピーエンドに決まっているのだが。
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。