2024年12月4日(水)

うつ病蔓延時代への処方箋

2013年3月13日

―― 日本ではEAPという言葉を知っているのは人事部ぐらいで知名度はまだ低い。社会的な役割も踏まえて現状と今後の展望をお聞かせください。

鳥越:この5年間で企業のEAPに対する考え方は、かなり進歩してきたと思います。理解は確実に深まりメンタルヘルスケア全般で対策をしっかりとやろうという姿が増えています。しかし、経営者視点に立てば、社内の数%、予備軍を含め15%の社員のためにどれだけの資金を投入できるか、と言えば現状では限界があるのも事実です。米国並みとまでは言えませんが、ある程度の普及までは時間がかかると思います。

 米国ではほとんどの企業がEAPを利用していますが、これはメンタルヘルスに対する社会的認知度が高く、カウンセラーや医療体制を含め社会インフラが整っていることがあるからでしょう。日本は精神科、心療内科の医師の数が十分ではないし、うつ問題が知られるようになってから10年程度という状況です。米国の経営者にはパーソナルカウンセラーがいるのは常識ですが、日本では聞いたこともありません。

 EAPが企業に必要にされていく、というよりも、社会全体がうつ病への対処に関心をもち対策を講じていく過程の中で、EAPの認知度が高まっていくのだと思います。

(記事内写真 撮影:著者)

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