2024年12月12日(木)

うつ病蔓延時代への処方箋

2013年3月13日

全従業員のストレス耐性を高めることで、パフォーマンス向上の成果を生み出す。メ ンタルヘルス不調の予防、発生対応だけでなく、費用対効果も実現する。
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 うつ病治療という観点から言えば一般的なことで、現在、認知行動療法が主流になっていますが、まさにメンタルタフネスは同じことです。ではどこかが違うかと言えば、対象とするのが、うつ病に罹患した人というよりは、その手前にある予防として取り入れていることです。刺激を上手に対処できるようにすることは、うつ病になりやすい人だけではなく、精神的に健康な人にもいい効果が出るはずです。

 誤解のないようにいえば、メンタルタフネス化すれば、すべてのストレスに対処できるわけではありません。人により許容できる範囲があり、それを超える刺激があった場合はうつ症状に陥ることがあり得るでしょう。ただ、ここで言いたいのは、一般的にどうということでもないこと、多くの人には些細と思われることで、病んでしまうような傾向性は、その刺激の受け止め方、その後の行動を変えることで十分に対処できます。

外的要因の排除ではなく内的要因を改善する

―― 健康診断時などのストレスチェックは、簡単に答えが導き出せる。このような形でないと多くの従業員を対象にできないからでしょうか。形だけのメンタルヘルス対策は、うつ病蔓延の時代を継続させるだけではないかという気がします。

鳥越:確かにストレスチェックの設問は、即答できることばかりです。これがメンタルタフネスになると、「あなたはストレスを感じたとき、どう考え、どのような行動をとりましたか」という質問になります。即答できるはずがなく答えにくいのですが、これを聞かないとストレスを受けた後のパターンを把握できません。記憶を呼び戻し振り返ることで改善すべき行動がわかり、同じようなことがストレスにならなくなります。

 ストレスチェックで導き出されることは、ストレスを与えているモノを排除していこうという形になります。ところがタフネスは、ストレスの受け手側の改善を図る考え方です。

 これだけ社会問題化しているにもかかわらず、メンタル不調者は減少傾向を示しません。その理由のひとつに、ストレスを加える側だけにスポットがあたり過ぎているからではないでしょうか。働く場の環境を改善するのは当然のことですが、それだけでなく働く人自身も自己防衛の手段として、ストレスを感じない考え方にするトレーニングを行うべきだと思います。認知と行動の癖を直すことで、性格を変えることではありません。誰にでもできることです。


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