かつては瀬戸内海に春をつげていた風物詩イカナゴ(コウナゴ)。報道されていますが、そのイカナゴの不漁は全国でかなり深刻化していて、回復の兆しさえありません。
大阪湾では、今年初めてイカナゴ漁の自主休漁を決定、播磨灘では2024年3月11日の解禁で、わずか1日で休漁となりました。そして仙台湾も今期の休漁を決めました。
伊勢湾や三河湾のイカナゴは9年連続の禁漁になっていますが、そもそも調査しても仔魚(孵化直後の魚の幼生)が見つかっておらず枯渇状態です。それでもいなくなった理由は「夏眠する親魚の生き残りが悪く、食害や海の栄養不足」といった環境要因への責任転嫁に終始しており、「獲りすぎによる影響が大きい」といった本当の原因には触れられません。このため、全国でイカナゴに限らず資源管理制度の不備が続き、次々に貴重な水産資源が消えていきます。
不漁になった原因では海水温上昇によりイカナゴが夏に夏眠できないであるとか、水がきれいになりすぎてエサになるプラントンが不足したからなどと報道されています。もちろんこれらが原因ではないとは言いませんが、本当に主な原因なのでしょうか?
毎度出てくるのが「原因の確定には至っていない」「原因はよくわからない」となります。根本原因ははっきりしているのですが……。誰も本当のことは得にならないので言いません。
今年の大阪府は「1月上旬以降、西風が弱く、イカナゴの仔魚に適した環境ではなく、大阪湾の流入が少なかった」と説明しています。しかし、実際にはもともとのイカナゴの資源量という分母自体が、生まれたばかりの仔魚狙いで長年漁獲を続けてしまったため、危機的に少ないというのが原因と言わざるを得ません。
イカナゴが漁獲されている全国そして世界に目を向けるとさまざまな矛盾が出てきます。そして何をどうするのか? つまり資源管理をどうするのかが、明らかになります。