2024年12月4日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年2月19日

( AlexRaths /gettyimages)

 サバが不漁に喘いでいる。「漁業情報サービスセンター」の統計によると、2023年のマサバ・ゴマサバ水揚量は21万トンと、19年の41万トンからほぼ半減した(図1)。昨年まで12年連続水揚げ日本一だった銚子漁港は、その座を釧路に明け渡した。イワシとともに水揚げの主力であるサバの水揚げが昨年の3万トンから1万7千トンへの半減したことがその要因だ。

 青森県八戸市に本拠を有する水産加工業者も、今年早々青森地裁に自己破産を申請している。負債額は約2億1600万円。コロナ禍による受注減とともに八戸港でのサバの水揚げ不振が引き金になったという。各地の漁業者から「サバが獲れない」との声が聞こえる。

サバ資源への楽観的な評価

 これまでわが国で実施されてきたサバに対する資源評価は楽観的なものだった。水産基本法第15条は「国は、水産資源の適切な保存及び管理に資するため、水産資源に関する調査及び研究その他必要な施策を講ずるものとする」と規定し、これらに基づき水産庁の関係機関である水産研究・教育機構は毎年資源評価を実施している。

 サバにはマサバとゴマサバの2種類があり、それぞれ日本海・東シナ海側に分布する系群(対馬暖流系群)と、太平洋側に分布する系群(太平洋系群)の2つがある。それぞれ分けて資源評価が行われるが、マサバとゴマサバでまとめて漁獲総枠(「「漁獲可能量(Total Allowable Catch: TAC)」と呼ばれる)が設定されている。

 マサバに関して言うと、昨年度の評価では日本海の系群については漁獲圧が高すぎ、望ましい資源量を割り込んでいるという二重の意味での「乱獲」とする一方で、新たに生まれて漁獲の対象に加わる魚の量は低くないと楽観的に評価。太平洋側の系群については、漁獲圧はぎりぎり適正水準であり、また望ましい資源量を上回っているとして、「資源は健全」と評価を与えていた。

 この評価に基づき国は日本海側の系群については前年の14万3030トンから18万トン、太平洋側の系群は前年の50万9千トンから51万トンへと2023年漁期(23年7月~24年6月)の漁獲総枠を増枠した。両者を併せた漁獲枠は合計で69万5270トン。他方、これまでの漁獲実績は設定された漁獲枠のトータルをほとんどの場合大きく下回ってきた(図2)。

(注)2019年漁期以降は太平洋系群と日本海系群で別々に漁獲総枠が設定されているが、合計した数字を示した 写真を拡大

新着記事

»もっと見る