2024年11月18日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年12月28日

 サバの水揚げの最盛期であるはずの秋は過ぎて12月も終盤。しかしながら、資源があると言われているサバはほとんど見つからずで、漁獲されてもほとんどが小サバ。不漁と魚の小型化は、資源が減っている時に起きる典型的なパターンです。

サバの未成魚(筆者提供)

 筆者は、日本およびその外側の公海上のサバなどの水産資源に関心を寄せる欧州連合(EU)やロシアなどの大手漁業会社に、国際フォーラムなどで説明する機会がある数少ない日本人です。その中で、資源量が多いと言っている日本のサバの資源評価(太平洋系群)は、過大評価である可能性が高いこと、資源評価自体が米国の海洋大気局(NOAA)から著しい改善が必要と指摘を受けていることなどを科学的なデータで説明しています。

 サバ資源が少なく、かつ小サバばかりの漁場に大型の外国漁船が来て魚を獲り合えば、どの国にとっても不幸となり、未来もありません。

小サバでも高値「成長乱獲」が進む仕組み

 日本のサバ資源は大きく分けて太平洋側と日本海・東シナ海側に分かれていますが、サバ(太平洋系群)の主漁場である太平洋の漁は思わしくありません。八戸(青森県)・石巻(宮城県)・銚子(千葉県)といったサバの水揚げで有名な港もサバの水揚げは閑散としています。

 太平洋側でたまに水揚げされるサバは150~200グラム(g)前後の幼魚で、食用に回せないサイズです。日本がサバを輸入しているノルウェーでは、価値が低いために漁業者が漁獲を絶対に避ける大きさです。未成魚を獲ってしまえば、成熟して産卵するサバも、成長して食用になるサバも減っていくのは自明の理です。

 漁業者としては、漁獲枠がたくさん残っているので出来るだけ獲ろうとします。さらにペルーのアンチョビ(カタクチイワシ)の禁漁に端を発した国際的な養殖用の餌料相場の高騰を受けて、非食用(養殖向け)の魚の価格が高騰しています。このため150~250gの小サバでもキロ130円台といった、過去最高水準の価格で推移しています。

 漁業者としては、資源に悪いと思っていても、漁獲枠が残っている以上、単価が高い小サバの漁獲を見逃すことはできません。実際の漁獲量より大きな、ザルのような漁獲枠が設定されてしまっていることの大きな弊害です。

 筆者には、矛盾を抱えながらも、悪いと分かっていても獲る仕組みになってしまっているために、獲らざるを得ない悲鳴が耳に入ってきます。これはその立場になればわかります。漁業者が悪いのではありません。


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