2023年11月29日(水)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年10月31日

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片野 歩 (かたの・あゆむ)

水産会社社員

東京生まれ。早稲田大学卒。2015年水産物の持続可能性(サスティナビリティー)を議論する国際会議シーフードサミットで日本人初の最優秀賞を政策提言(Advocacy)部門で受賞。1990年より、最前線で北欧を主体とした水産物の買付業務に携わる。特に世界第2位の輸出国として成長を続けているノルウェーには、20年以上、毎年訪問を続け、日本の水産業との違いを目の当たりにしてきた。著書に『日本の水産資源管理』(慶應義塾大学出版会) 『日本の漁業が崩壊する本当の理由』『魚はどこに消えた?』(ともにウェッジ)、『日本の水産業は復活できる!』(日本経済新聞出版社)、「ノルウェーの水産資源管理改革」(八田達夫・髙田眞著、『日本の農林水産業』<日本経済新聞出版社>所収)。

 卵を抱え、脂ものったお馴染みの干しシシャモ(カラフトシシャモ)。原料の2大供給国は、ノルウェーとアイスランドで毎年2~3月前後が漁獲シーズンとなります。

アイスランドで水揚げされたカラフトシシャモ(筆者提供)

 2023年10月に、ノルウェーシシャモで24年に漁獲が許可される数量・TAC(漁獲可能量)が発表されました。その数量は約20万トン(19.6万)と22年の漁獲量が僅か200トンまで落ち込んでしまった北海道のシシャモの漁獲量とは3桁違いの数量です。

カラフトシシャモ。上がオスで下がメス(筆者提供)

 その漁獲枠はノルウェーとロシアで6:4に配分されます。そして、実際に漁獲できる数量より少なく設定されているので、漁獲枠通りに漁獲されていきます。

 ノルウェーでは水産業は成長産業。シシャモの増枠はさらに地方の産業を発展させていきます。

 水揚げ後、冷凍された原料は、主に日本や日本向けに加工して再輸出している中国・アジア方面に輸出されていきます。

 群れがまとまる2~3月の産卵期が漁獲シーズンです。もともとメスだけが子持ちシシャモとして日本で流通していましたが、オスについても味醂干しにして焼いた製品(下写真)がすっかり定着しています。また、フィッシュミールを生産する過程で取り出す冷凍シシャモ卵も、もともとは日本市場向けでしたが、北米、中国、ロシア東欧などに市場が広がっています。

オスシシャモ味醂干し(筆者提供)

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