2024年7月22日(月)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2023年10月31日

必然的にわが国の漁獲量減少が止まらない 

 10月になり北海道のシシャモ漁が解禁しました。昨年(22年)の漁獲量は僅か190トンにまで落ち込んでいます。漁獲量の低迷続きで、一部の地域では休漁となっています。

 下のグラフをご覧ください。赤の折れ線グラフは漁獲量、青は単価を示しています。数量については1980年には2万トンに迫る勢いでした。しかし今ではその面影さえ残っていません。科学的根拠に基づく漁獲枠なしで漁業を続けると、回復する機会を逃す一方で、その後の数年で資源激減が起こる典型的な例です。

(出所)北海道のデータを基に筆者作成 写真を拡大

 赤丸の1980年には一時的に飛びぬけた漁獲量となっています。これは「卓越級群」といって著しく生き残った個体数の年齢群が発生したためと推定されます。本来であればこれを絶好の機会ととらえて、資源管理を行いサステナブルにするべきなのです。

 しかしながら、漁獲枠で漁獲量の上限が設定されていません。このため資源管理が機能せずシシャモに限らず、ニシンなどでもこのような大チャンスが訪れると「大漁旗」を掲げて一網打尽にしてしまい「後の祭り」になってしまいます。これは漁業者ではなく、資源管理制度の問題です。

 また、赤線の大幅な供給減による暴騰が続く単価の上昇にも注目して下さい。どんどん消費者から遠い存在になり、漁業者含め誰にとっても不幸な状態となってしまいます。

効果がある対策とは「ふ化放流」でしょうか?

 魚が減ることに対して策を講じることは必要です。しかし本当に効果があるのか? と疑問に思うのがふ化放流です。

 22年に北海道でシシャモのふ化場が新設され、既存施設に比べ3倍の卵をふ化させることが計画されています。これにより漁獲量を安定させようとしているそうです。

 ところで、資源が復活した北欧両国では、数量管理によって資源を回復させています。ふ化場を使って資源を回復させたわけではありません。同じく漁獲の減少が深刻になっているサケも同様なのですが、資源量をサステナブルにできている国では、自然産卵とMSY(最大持続生産量)を維持できる数量管理に重点を置いています。日本のように何月から解禁というやり方ではありません。

 研究などには役立つのでしょうが、やるべきことは資源が回復するように、科学的根拠に基づいて現在の漁獲量を減らす。そして河川をはじめ、魚が産卵し易い環境を整えることが必要ではないでしょうか? それが世界の成功例から導き出されている結果です。

 大不漁に対して「大漁祈願の神頼み」では、よくなる可能性などありません。なおノルウェーでも海水温上昇の影響はありますし、同じ資源を批判合戦ではなく、隣国ロシアと分け合っています。

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