2024年11月21日(木)

日本の漁業 こうすれば復活できる

2024年4月30日

 北太平洋の公海を回遊し漁獲の対象とされる魚の国際的管理を話し合うため大阪で開催されていた「北太平洋漁業委員会(North Pacific Fisheries Commission: NPFC)」が、先日、サンマなどに関して新たな規制措置を採択して閉幕した。2024年の北太平洋全域でのサンマ漁獲上限を25万トンから1割削減して22万5000トンに、うち公海域での漁獲総枠(Total Allowable Catch: TAC)を同様に15万トンから1割削減して13万5000トンとし、今後も資源が望ましい水準を割り込んでいる場合は毎年最大1割を上限にTACを段階的に削減するとの内容である。

サンマは「秋の庶民の味覚」ではなくなってしまうのか?(kazoka30/gettyimages)

 新聞やTVなどメディアで広く報道されている通り、サンマの資源量は激減している。NPFCの資料によると、14年には北太平洋全域で63万トン以上あった漁獲量は23年には11万8000トンと約8割減である。秋の風物詩として店頭に並ぶサンマの価格は大幅に上昇、もはや庶民が気軽に買う廉価な魚でもなくなりつつある。

 サンマの資源量が急減してしまった要因の一つとしては、「取り過ぎ」すなわち乱獲という要因がある。NPFC科学委員会の報告によると、2000年代中頃から20年まで、漁獲の強度が持続的な水準を超えているという意味で「乱獲」状態となり、資源の絶対量も2000年代末から健全なレベルを割り込んでいるという意味で「乱獲」水準となり現在に至っていると評価されている。

 温暖化など環境要因の変化も資源の急減に寄与していると考えられるだろう。近年日本が主たる漁場としていた日本沿岸にあまり来遊しなくなっており、国内のサンマ漁業者に大きな打撃を与えている。

 NPFCの統計によると、10年代前半には北太平洋のサンマの約5割から6割強は排他的経済水域内(Exclusive Economic Zone: EEZ)で漁獲されていたが、22年はEEZの割合は僅か3%、23年はやや持ち直したものの12%に過ぎない。

 公海でのサンマ漁獲に台湾や中国が乗り出したことは、資源の獲得競争に拍車をかけてしまっている。NPFCの資料によると台湾は2000年代より北太平洋公海域での漁獲を強化し、中国も10年代に参入している(図1)。


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