2022年10月7日(金)

ブルキナファソ見聞録

2013年4月15日

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岡田綾 (おかだ・あや)

JICA職員

1982年兵庫県西宮市生まれ。小学校6年生のときに阪神・淡路大震災を経験。2005年京都大学文学部社会学科、2007年同大学大学院地球環境学舎環境マネジメント専攻修士課程修了。環境やコミュニティ防災について学ぶ。就職活動では、「その人自身のせいではないが、理不尽な境遇におかれてしまった人のために仕事をしたい」と考え、他の関心事項であった「途上国・国際協力」も満たす組織として、独立行政法人国際協力機構(JICA)を志望し、2007年入構。地球環境部、広報室などを経て、アフリカ勤務を希望し、2012年12月よりブルキナファソ事務所に赴任。

 仕事上でも、ああ、こちらの気持ちを推し量ってくれているな、と感じることがよくあるが、カフェの店員の態度を見ても、「穏やかさを持ち、適度な距離を保つ性格のブルキナファソ人」というのはある程度一般化して良いものかもしれないと感じた。

マリ難民の増加
ブルキナファソ人の本音は…

筆者がマリ難民から購入したブレスレット

 この一件は、ブルキナファソ人を知るということに加え、この地域の置かれた状況を知る機会にもなる。ブレスレットを売っていたのは、マリからの難民。「3カ月半前の夜、誰にも見つからないように家族で逃げてきた。イスラム過激派はマリでモスクをたくさん破壊している。あんなのは、本当のイスラム教徒の姿ではない。腕や足を切断された人もいるし、強姦された身内もいる。本当に悲惨だ」逃げてきても、食べるものや生活環境が厳しく、先の見えない生活が続く。物売りをしても収入と呼べるほどにはならないのだが、「売れたということが僕と家族の自信になる」と話した。

 首都であるワガドゥグ近郊には、マリ難民が集まっている地区があり、現在約3,500人がいる。多くの難民がマリ国境付近にいるため、ブルキナファソ国内の難民約50,000人からすると10分の1以下だが、2カ月ほど前から、地方都市に入ってきた難民のワガドゥグへの移転が進められており、今後もワガドゥグの難民数は増えていく可能性がある。

 マリ国境付近でも、元々2万人の住民の地域に2万人の難民が流入し、加えて家畜も連れてきていることから、水や食糧などが不足し地域住民の生活を圧迫している地域が出ている。難民の受け入れにあたっては、難民自身の保護に加え、受け入れ地域への支援も必要になる。隣国での治安悪化がすぐに自身の生活や自国の経済に影響を与える地域では国としての体力が不可欠だが、安定した経済基盤を持たないブルキナファソにとって、治安の悪化と難民の増加はじわじわと大きな負担になってくるだろう。

 首都ワガドゥグにいると、マリ難民の受け入れに対する意見をあまり聞かない。報道も事実を淡々と伝えるものが多く、人々も難民受け入れに対する賛成・反対などの意見をそこまで身近な話題として扱っていないように思う。首都にいてまだそこまで切迫感を感じないからか、マリ人への仲間意識があるからか、ブルキナファソの人が穏やかで優しいからか、本音を語らないからか。

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