こんにちは。いよいよ梅雨入りしましたね。
「三味線も風邪声の出る梅雨の内」という古川柳があるそうです。江戸の昔の句なのに、梅雨のじめっとした様子がよく伝わってきます。僕はこんな句を読むと、たった17音字で江戸のひとと心が通じた気がしてうれしいんだよね。
梅雨時期なりのお題ってたくさんありますから、みなさんも身の回りのことを詠んでみてね。
あえての1字空け
ショーゼン さて、きょうは川柳がうまいといわれる小技をひとつお教えしましょう。以前、川柳の書き方の基本は、スペースを空けないことだといいました。覚えていますか?
のぞみ はい、「上五(かみご)」「中七(なかしち)」「下五(しもご)」の間にはスペースを空けず、いっぽんの棒のように書くんですよね。
ショーゼン そうです。17音字の川柳のどこで区切って読むかは、読み手にゆだねられるものです。
でも、あえて1字をあけるという高等テクニックがある。なぜ高等かというと、空白のスペースに意味を持たせるわけですから、これは難しい。句の作者が一拍おいてほしいと思う場合は、その意思表示のために空白をつくるんです。
少し動く 鬼は恋している気配
こだま スペースをあけて「少し動く」を取り立てることによって、気配のわずかな変化が見えるような気がしますね。そんなふうに感じました。
ショーゼン このほか、読みにくさを避けるためにスペースを空けることもありますよ。
怒り怨念 夜の九時には寝てしまう
のぞみ もしつながっていたら「いかりおんねんよるのくじ・・・・・・」になるから、ちょっと読みにくいですね。
ショーゼン 5・7・5のつなぎが漢字の連続で読みにくい場合は、このようにあえて意識してスペースを空けることもあります。また、ひらがなの連続、カタカナの連続も同じです。以下の場合にはとくに、効果的な「1字空け」が使えますよ。
1.場面転換
2.時間経過
3.字のつながりが読みにくい場合
でもね、こういう小技はときどき使うのが効果的ですよ。驚きがなくなっちゃうからね(笑)