鬼や妖怪が集団で闊歩する百鬼夜行、怨霊が荒ぶる神となった鬼神など、さまざまなイメージで造形化されてきた日本の妖怪。中世の鬼からゲゲゲの鬼太郎まで、古今の妖怪が大集合、その系譜をたどる、夏ならではの趣向の展覧会が開かれる。
月岡芳年
「新形三十六怪撰 おもゐつづら」
明治時代 国立歴史民俗博物館所蔵
*前期のみ展示
「新形三十六怪撰 おもゐつづら」
明治時代 国立歴史民俗博物館所蔵
*前期のみ展示
会場には、鬼や天狗を表した能面をはじめ、擬人化された動物や器物を描いた絵巻、図鑑のように妖怪を紹介した版本などが並ぶ。古くは畏怖の対象であったものが、江戸時代以降に庶民の娯楽として親しまれるようになる、妖怪画の変遷史を見渡せる。さらに、近世近代の妖怪研究のパネル展示、そして現代の鬼太郎の原画へと続く。
水木しげるの妖怪画「がしゃどくろ」のモチーフとなった歌川国芳の「相馬の」や、昔話「舌切り雀」の、開けると妖怪が出てくる大きな葛籠を描いた月岡芳年の「おもゐつづら」など、浮世絵の妖怪画も興味深い。また、狩野永納筆の絵巻に描かれた、安倍晴明が疫病神を調伏する場面をフィギュアで復元した展示もユニークだ。この夏、怖いけれどユーモラスな妖怪の世界に触れてみてはいかがだろうか。
特別展 大妖怪展─鬼と妖怪そしてゲゲゲ─
<開催日>前期7月6日~8月4日、後期8月6日~9月1日
<会場>東京都中央区・三井記念美術館(東京メトロ銀座線三越前駅下車)
<問>三井記念美術館☎03(5777)8600
http://www.mitsui-museum.jp/index.html
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