2024年12月22日(日)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年6月24日

 6月上旬の米中首脳会談の準備は、リュー財務長官、ケリー国務長官、デンプシー統合参謀本部議長、そして今回のドニロン国家安全保障担当補佐官の訪中により、入念に行われている。しかし中国による米産業機密の窃盗問題は、米中間にパートナーシップを築こうとする米中首脳の努力に影響を与えるかもしれない、と述べています。

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 中国による執拗なサイバー攻撃に対し、米国で対抗策を取るべきである、との機運が高まっています。今回公表された報告書もその一つで、中国に対して、サイバー攻撃は代価を伴うことを知らしめるべきであるという趣旨です。

 中国にサイバー攻撃を思い止まらせるほどの代価が何であるかは議論のあるところですが、報告書の公表、そして米中首脳会談を契機に、議会などで中国のサイバー攻撃に対する対抗措置の議論が一層高まることになるでしょう。現に、議会では、米中首脳会談の直前に、米国にサイバー攻撃を仕掛けた外国の個人や政府に対して入国禁止や資産凍結等の制裁を科す法案が、超党派で提出されています。法案は、適切な内容と言ってよいでしょう。

 報告書は、米政府は中国のサイバー攻撃を受けた米国の企業に反撃することを認めるかどうかを検討すべきであり、その結果生じる、民間レベルのサイバー戦争をも辞すべきではない、と言っています。これに対して、収拾がつかなくなるとして、米政府の大勢が反対しているのは、妥当であると思われます。

 米中首脳会談でも、中国によるサイバー攻撃の問題は、中身のある進展がありませんでした。米中関係を出来るだけ宥和的で穏便に推進しようとしている二期目のオバマ政権にとって、中国のサイバー攻撃は、のどに刺さった骨のようなものでしょう。

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