2024年12月4日(水)

チャイナ・ウォッチャーの視点

2013年6月11日

 アメリカのカリフォルニア州で開かれた世界注目の米中首脳会談が幕を閉じた。連続2日間、両首脳がのべ8時間以上にわたって会談したことは米中外交史上初めての出来事であり、世界の外交史上でも稀に見るケースであろう。

米中が抱える多くの問題

 世界中の多くのメディアや論者もまさにこの点に注目して、アメリカ大統領の中国に対する「異例の厚遇ぶり」の意味を詮索したり、あるいはその事実をもって「G2の新時代の到来」を論じたりして大いに盛り上がっている模様だが、別の視点から見ると、多忙を極めるアメリカの大統領がそれほどの長い時間を今回の首脳会談に費やしたのはむしろ、米中の間には今、首脳会談を通じて解決しなければならない喫緊の問題があまりにも多すぎるからである。

 実際、今回の首脳会談に当たって、オバマ政権側から提起されたのは、北朝鮮の核問題、サイバー攻撃問題、気候変動問題、そしてアジア太平洋地域での安全保障問題などの多岐にわたる重要議題である。2日間にわたる会談において、特に時間が費やされたのはやはり、アメリカ当面の最大の関心事であるサイバー攻撃問題と北朝鮮問題であることは周知の通りだ。

 そういう意味では、今回の首脳会談の主導権は中国の習近平国家主席よりも、アメリカのオバマ大統領にあったと見てよいであろう。会談の主な議題はアメリカ側が提示した、アメリカ側が関心を持っているテーマばかりであれば、それはどう考えても、アメリカ側の主導下で進められた会談なのである。

 たとえばサイバー攻撃問題に関して言えば、中国自身が攻撃源と見なされているため、習主席にとっては首脳会談であまり触れたくない問題のはずだ。しかしオバマ大統領は結局、中国側が触れたくないこの問題を持ち出して、首脳会談の最大の議題の一つとして扱うことに成功した。会談は完全にオバマ大統領ペースなのである。

 それに対して、習主席は終始「新型の大国関係構築」という抽象論を繰り返した以外に、何らかの議題を持ち出してアメリカ側にぶつけてみるようなことはしていない。彼は単にオバマ大統領のペースに乗せられて会談をこなしていった感じである。

成果を勝ち取ったオバマと「宿題」を持ち帰った習近平

 そして2日間にわたった会談は、オバマ大統領にとっては比較的満足のいくものとなったと思われる。


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