2024年11月22日(金)

復活のキーワード

2013年7月16日

 具体策としては「総合取引所の早期実現」「英文開示や国際会計基準の利用の拡大」「東証『グローバル300社』インデックスの創設」「資本市場の監視・監督体制の格段の強化」「REIT市場の活性化」といった政策が並んでいる。バブル期同様、世界一と肩を並べる市場に戻そうというわけだ。その心意気は必要だろう。

 だが、それ以上に大事なのは、日本の資本市場に「人」が集まるような政策を取ることではないか。いくら「カネ」が集まっているといっても海外から操作されている機械の取引だけで回っているのでは、本当の意味での金融業は日本で発達しない。

 バブル期に進出した世界の金融機関が東京を後にして久しい。多くが香港やシンガポールに拠点を移したままだ。こうした金融機関を呼び戻し、金持ちが日本に資産を移し、日本で消費生活を楽しむ。それでこそ、本当の意味で経済は再成長路線に乗る。

 日経平均が1100円の急落を演じた際、経済界の一部からはアルゴリズム取引を規制すべきだという声が上がった。これに対して麻生太郎副総理兼財務相は「1日で株価が乱高下するのはあの機械のおかげだと僕は思っている」と述べたものの、一方的に規制するようなことはしない方針を示した。もはや世界でアルゴリズム取引が行われている以上、一国だけで規制することは難しい。それよりもむしろ、多くの金融機関や個人投資家が世界から集まる国にするにはどうすべきか。

 これまで政府は、日本の製造業が国内にとどまることを奨励する目的で、「国内立地補助金」などを出してきた。ならば、国内に金融機関や投資家が留まったり、あるいは海外からやってくる場合に、税制上のメリットが生じるような制度改革をしていくべきだろう。兜町の活況を単なる一時のミニバブルに終わらせてはいけない。

◆WEDGE2013年7月号より

 

 

 

 

 

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