白鳳時代、天武天皇が皇后(後の持統天皇)の病気平癒祈願のために建立した奈良・薬師寺。平城京遷都で現在の地に移って以来1300年の間、時代の変遷を見守ってきたのが、創建当時より現存する唯一の建物、東塔だ。
東塔水煙 飛天(イメージ) 国宝 奈良時代
現在、東塔は平成21(2009)年に始まった解体修理が進行中で、10年間にわたる修理期間中は三重塔の優美な姿は見られない。一方で、全面解体に伴い、普段は目にすることがない東塔の真の姿に出会える。その1つ「薬師寺 東塔水煙 降臨展」が今秋開催される。
東塔の上層部にある水煙は塔を火災から守るため、地上34メートルの高さに祀られている。通常は肉眼で確認することは難しいが、展示では、水煙に施された飛天の透かし彫りを目の当たりにできる。飛天は全部で24体。花をまいたり、衣を翻したり、優雅な姿を披露する。笛を奏でる飛天の姿は、官製はがきのデザインに使われたこともある。
東塔水煙が地上に下ろされるのは、昭和25~27(1950~52)年の修理以来、61年ぶりのこと。舞い降りた飛天の姿を拝んでみたい。
薬師寺 東塔水煙 降臨展
<開催日>9月16日~11月30日
<会場>奈良市西ノ京町・薬師寺 白鳳伽藍(近鉄橿原線西ノ京駅下車)
<問>☎0742(33)6001
https://www.nara-yakushiji.com/contents/toto_suien/index.html
■「WEDGE Infinity」のメルマガを受け取る(=isMedia会員登録)
「最新記事」や「編集部のおすすめ記事」等、旬な情報をお届けいたします。