2024年12月22日(日)

田部康喜のTV読本

2013年7月24日

 作家・池井戸潤の作品は購入しながらも、直木賞受賞作の『下町ロケット』も積読(つんどく)のままである。その池井戸原作の2作品がドラマ化された。

 『オレたちバブル入行組』と『オレたち花のバブル組』を脚色した、TBSの日曜劇場「半沢直樹」。原作と題名をそのままに、NHKの土曜ドラマ「七つの会議」である。

 「読んでから見るか、見てから読むか?」は、角川映画のかつてのキャッチコピーである。横溝正史や森村誠一らの作品を映画化するとともに、文庫本のキャンペーンを進めた。

 「七つの会議」は原作を読みながら、「半沢直樹」は読まずに観ることにしてみよう。

ふたつのドラマのキーは「ネジ」

 「七つの」の主人公は、東山紀之が演じる中堅の電機メーカーの課長・原島万二、「半沢」は大手銀行の支店の課長で、演じるのは堺雅人である。

 原島も半沢もバブル入社組である。

 「七つの」は第1回「だれかが消えていく」(7月13日)、第2回「二度と戻れない」(7月20日、「半沢」は第1回(7月7日)、第2回(7月14日)を観た。

 ふたつのドラマは、ネジがキーとなる。「七つの」では、電機メーカーが製造した高速鉄道や旅客機の座席に使われている特殊合金製。そして、「半沢」では主人公がお守りのように持っている溝に血がついている樹脂性で、それは父親の中小企業が造っていた製品である。

 「読んでから見るか、見てから読むか?」。わたしはそのどちらも好きだ。さらに、読んでから見て、また読むも。

企業犯罪を食い止められるか

 「七つの」は、原作を読む速度がドラマの進展を上回った。脚本は、日本を代表する俳優となった東山のために書かれたことがわかる。原作の登場人物たちの信条や行動をまとめかつ煮詰めて、東山演じる原島の人間像を新たに作り上げた。

 ドラマは、企業の調査委員会の弁護士が、聴取の部屋で原島と向き合う場面から始まる。

 弁護士はいう。

 「平成2年入社ですか。バブル入社ですね。経費が使い放題で、さぞかし楽しい時代だったでしょう」


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