2024年12月23日(月)

田部康喜のTV読本

2013年6月12日

 航空自衛隊のブルーインパルスの6機の編隊が、それぞれの機ごとに大きな円を夏空に描いて見せた。東日本大震災で被災後、復旧した本拠地の松島基地から飛来した。

 震災地の鎮魂と復興を祈る「六魂祭」の本会場の空である。東北の祭りがそのために集う、3年目の今年は6月初旬に福島市であった。

組織の内側を描こうという挑戦

 TBS日曜劇場の「空飛ぶ広報室」は、そのブルーインパルスに所属することを夢見ていたパイロットがけがのために、航空幕僚監部の広報室勤務に異動となる。綾野剛が演じる二尉の空井大祐である。

 その広報室の密着取材をしているのが、新垣結衣の帝都テレビディレクター・稲葉リカ。報道記者を希望して入社し、いったんはそのチャンスをつかむが、トラブルを起こして夕方の情報番組の担当に異動したばかりであった。亡くなった父親は新聞記者である。

 空井の上司の退官間近い広報室長・一佐の鷺坂正司役は、柴田恭兵。帝都テレビの情報局のチーフディレクターとして稲葉に対して、厳しい口調ながら、あたたかく見守るのが、生瀬勝久の阿久津守である。

視聴率も好調
見どころは恋愛だけではない

 第7回「いざという時そばにいられない男だけどそれでもいいか?」(5月26日)、第8回「運命が変わる2秒間」(6月2日)、第9回「つのる想い・あふれる涙」(6月9日)を観た。

 稲葉が取り組んでいる、広報室を舞台とした密着取材の番組制作と、広報室が航空自衛隊の募集のために作ろうとしているプロモーション・ビデオが、からみあってストーリーは展開する。

 「空飛ぶ広報室」は、視聴率がキー局のドラマ部門のなかで健闘している。毎週10%を超えて、ベスト10を維持している。

 「ガリレオ」(フジテレビ)や刑事を主役とした推理ドラマや、「35歳の高校生」(日本テレビ)といった意表を突いた設定のドラマと比べると、「空飛ぶ」は趣を異にする。


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