2024年4月25日(木)

田部康喜のTV読本

2013年6月12日

 さらに、自衛隊という組織に対する社会の厳しい目がある。テレビ局の内部には、報道の自由とニュースの内容との間に日々苦闘が続いている。

 「空飛ぶ」は本格的な社会派ドラマである。自衛隊とテレビ局の内部を描こうという企画は、いかに恋愛物の衣装をまとっていたとしても、実現するまでにTBSのなかで論議があったと考える。

 社会派ドラマの成否は、登場人物に視聴者がいかに感情移入できるかにかかっている。若手サラリーパーソンたちは、空井と稲葉のコンビに。そして管理職の人々は、広報室長の鷺坂と阿久津に、日々の組織人としての感慨を重ね合わせることだろう。

 新聞記者から広報室長に転職したわたしは、「空飛ぶ」がドラマでありながら、社会の現実と組織の真実を貫いていると思う。

 感情移入しているのは、柴田恭兵の広報室長である。このシリーズでなんどか触れている「ハゲタカ」(NHK)のなかで、銀行員を演じている。わたしが社会に出た同じ年の入社という設定の役であった。「空飛ぶ」では間もなく退官になる。 (敬称略)


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