2024年4月22日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2013年8月23日

 自衛隊というのは、地域の各国政府が何十年も慣れ親しんできた名前である。彼らの相対的な安心感は、東京に、役割、任務、兵力構造を調整するための余裕を与えてくれる。しかし、名称変更と能動的な防衛を同時に進めることは、日本の意図とパワーにおける革命を暗示しかねない。

 日本が革命的変化を望んでいるような印象は与えて欲しくない。アメリカ人として、私は、より対等な同盟を歓迎する。東京は、そのために、防衛予算を大幅に増額すべきである。

 これは、それほど過激なことではない。日本は、非公式にGDP比1%に抑えられている防衛費を、倍増させることができよう。NATOは、加盟国の防衛支出のベンチマークをGDP比2%としている。日本は、厄介な隣人の近くに位置している。有り得そうな脅威に直面していないNATO同盟の基準を採用することは、侵略のための再武装と等しくはない。

 日本は、その目的を、早期に且つ頻繁に説明し、そして行動すべきである、と論じています。

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 安倍政権が目指す日本の国防態勢の変革を、米国の立場から大いに支持し、NATO並のGDP2%までの防衛費増を期待する一方、怖れと名誉が戦争の原因だというツキディデスを引用して、日本が挑発的な態度を控えるように忠告している論説です。

 日本の防衛力増強については、イメージを先行させず、実質強化に集中すべきだということには、賛成できます。特に、それを対中広報戦略の観点から考えてみるべきでしょう。

 日本が防衛費を増額し、集団的自衛権の行使を認め、それに沿って防衛計画の大綱を改め、日米共同の防衛体制を強化することは、中国にとって100%不利となることであり、何とかこれを阻止したいところでしょう。しかし、その内容は、論説にもあるとおり、米国が最も希求するところであり、中国が割って入る余地はありません。

 もし中国が何かを出来るとすれば、それは、日本の改革を、日本の右傾化に結びつけて、米国およびアジア諸国の猜疑の念を呼び起こし、反対のムードを形成することです。それゆえ、日本としては、ホームズの言う通り、出来る限り、右傾化の批判を避けるようにしつつ、まず実質的に日米防衛体制の強化を推進すべきです。

 日本としては、集団的自衛権の行使を認め、その上に立って、防衛計画の大綱と日米ガイドラインの書き直しをまず完成すべきです。それまでは、ここで指摘されている自衛隊の名称の改変などは小さな問題ですが、それも含めて、靖国参拝、従軍慰安婦問題の解決、そして憲法改正(集団的自衛権の行使には憲法改正を必要としない)など、中国が「右傾化」としてプロパガンダの材料に使えることは、後回しにして、実質の達成をまず図るべきだと思います。

 こうして日米関係を、軍事同盟を基礎において盤石の物とした上でならば、憲法改正など、その他の保守的アジェンダは、その時々の政治情勢、民意に応じて、いかようにでも対処できます。

 なお、この論説が言う、戦略的攻撃力を持たない「普通の軍隊でない」自衛隊のままで居た方が良いという議論は、重視する必要は無いでしょう。現在では、空母の用途やミサイルの射程などについて、攻撃的か否かを議論することに意味はなく、今や誰も議論しない問題です。

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