「胡錦濤体制から習近平体制への移行時に見られた特徴として、軍における人事の断絶ということが挙げられます。胡錦濤体制がスタートしたときには、軍委主席のポストに江沢民が約2年間もの間居座り続けました。それに比べ胡錦濤は一切のポストから退いています。それだけに新政権(党)の軍に対するコントロールに不安の声があったのです。しかし、今回の人事はそうした声を退けるだけでなく、習近平が軍を強くグリップしていることを内外に示した形になったのではないでしょうか」
ハイペースな軍の昇格人事と若返り
今回、軍務にもかかわる党の関係者たちが注目しているのは、おおむね以下の2つの視点だという。
「第1点は、軍委弁公庁の主任に秦生祥を就けることができたことです。これは胡錦濤色が軍から完全に消えたことを意味します。例えば、江沢民体制下では鄧小平時代の王瑞林がずっとこのポストで目を光らせ、胡錦濤時代には同じように賈廷安がそのポストを手放すことはありませんでした。つまり習は胡から白紙で権力を移譲されたのです。
これに加えて第2点目は、秦の人事が出された2013年1月以降、習近平が副大軍区級以下の人事にも細かく手を付け、それを見事にやり遂げているという事実です。
過去には鄧小平が17人の上将を任命、江沢民は79人、胡錦濤が45人となっていますが、習近平の約半年で7人の上将任命はかなりハイペースといえるでしょう。また今回の人事でさらなる若返りが実現しています。最年少上将の記録を塗り替えた蔡英挺の抜擢はその象徴です。これで全31人の上将のうち、50年代以降に生まれた者が22人にまで増えたことも人事の特徴といえるでしょう」(前出の党中央関係者)
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