つまり、感情、思考パターンと消費者態度は関連性があることは分析できました。次のステップとして認知療法をコーチングのように使い、社会的にあるうつ傾向を改善させていけば、消費者態度も改善させることができるのではないか。それにより個人消費が増え景気を押し上げる効果が期待できるのではないかと考えています。これは「心の問題と経済成長」として発表しています。(http://www.rieti.go.jp/jp/events/13061101/info.html)
消費を増やすことだけではなく、社会問題化するうつ病への取り組みを、認知療法などによって改善に導くことは、一般的に言われる経済損失を減少させることにもつながります。生産性の低下などで2.7兆円ともいわれるうつ病の経済損失額ですが、需要面での購買意欲低下を加えると、さらに膨れ上がると考えています。これを改善する方向性を示すことができれば、大きな成果となります。
―― そのためにも現在の精神医療の外にあり、現状では科学的に認められていない、うつを改善する手法を効果検証することが必要になるのですね。
関沢:そうです。ランダム化比較試験と呼ばれる手法によって科学的に効果があると証明できれば、施策として普及させていくことが可能です。ただ、専門家によるカウンセリングを受けないと学べないような手法では普及していきません。本から学べ、ネットで提供される情報から自分で対応していけるような簡便性が必要です。そうすれば、企業での取り組みも容易になり、抑うつ症状に陥る人を減らしていけるでしょう。
問題はすべて自分の中に、心のメカニズムにあるのです。コンピューターシステムを構築する時には、必ずプログラムのバグを取り除く作業が必要になりますが、これと同じこと。自分の中にあるバグを自分の力で取り除いていけばいい。それができる手法を検証しうつ病を減らしていく研究を続けていきます。