1では、「地域のGDP、GDP伸び率を政治業績の評定評価の主要指標としない」と明確に掲げ、6でもGDP、GDP伸び率最優先からの脱却を宣言した。
2では、高度経済成長によるさまざまなひずみを解決することを評定で重視することを規定した。
3では、とりわけ生態破壊と貧困の深刻な地域では、生態保護と貧困扶助に評価の重点を置くとしている。
4では、地方債務を評価基準に盛り込んだ。
5では、幹部の業績稼ぎのプロジェクトを批判した。
7では、経済成長第一主義の幹部の責任を追及し、処分することを明確にした。
8では、評定の公正さを求めた。
とりわけGDP、GDP伸び率優先の人事評価を止めることを明確にしたことで、地方幹部の人事評価が大きく変わることが期待される。
カギは習近平の本気度
これまでGDP、GDP伸び率が評価指標であることを中央組織部が明言したことはないはずである。今回の通知でそれを否定したことは、逆にこれまでそうした指標があったことを中央組織部が認めたことを意味し興味深い。
経済指標で地方幹部が評価されることは、地方のGDPの水増し疑惑などもあり、これまでもしばしば批判されてきた。それでも経済指標による評価が続いてきたのは、その方が簡単であり、またそれに代わる指標や評価方法を構築することが難しかったからだろう。
そうした状況は今も変わりはない。それでは、この通知で提起された、科学の自主開発(創新)、教育文化、労働就業、住民の収入、社会保障、人民の健康状況といった指標をどうやって評定するのか。数字化するのか。残念ながら、この通知はその方法を具体的には示していない。
しかし、GDP、GDP伸び率を評価指標として否定した意味は大きい。中央組織部は、これまでになく、具体的な新たな評価作りを迫られるからだ。その点がこれまでとは大きく異なるように思われる。
習近平政権も経済成長のひずみがもたらす社会不安が政権の命取りになることを警戒している。そのためその対応は急務であり、人事による強制力が必要であるとの判断に至ったのだろう。
本当に経済格差の解消や環境保護などに取り組むのであれば、新たな評価によって、とりあえず1人でいいから省レベルの党委員会書記または首長に出世させるといい。そして、そのことを明確にすればいい。そうした例を2人、3人と続けていけば、新しい評定は定着するだろう。すべては習近平の本気度にかかっている。
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