ニック・ビーク欧州特派員、ルース・カマーフォード、BBCニュース
北大西洋条約機構(NATO)加盟国がウクライナに供与した戦闘機「F16」1機が破壊されたと、ウクライナ軍関係者がBBCに明かした。
ウクライナ軍によると、戦闘機は26日にロシアが大々的に展開したミサイル攻撃の渦中で破壊され、パイロットのオレクシイ・メス中佐が亡くなった。今月初めにF16がウクライナに到着して以来、F16を失うのは初めて。
ウクライナ軍は、戦闘機の墜落は、ロシアのミサイル攻撃が直接の原因ではないとしている。
メス中佐はこの日の戦闘で、ロシアの巡航ミサイル3発とドローン(無人機)1機を破壊したとウクライナ軍は説明している。
ウクライナ空軍はソーシャルメディアで、「オレクシイはウクライナ国民をロシアのミサイルから守った」、「残念ながら自分の命を犠牲にして」と発表した。
声明では、この件に関わった戦闘機の種類を特定していないが、軍関係者はBBCに対し、このパイロットはF16を操縦していたと語った。
ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は27日、アメリカ製のF16がロシアの無人機やミサイルを撃ち落とすために配備されていたと、公に認めた。
ゼレンスキー氏は今週に入り、これまで以上にロシアの奥深くに位置する標的を攻撃するため、長距離ミサイルの使用を認めるよう友好国に要請している。
これについて、オランダ軍のオンノ・エイヘルセイム参謀総長は、同国は兵器の追加供与に加え、戦闘機24機をウクライナに提供すると発表した。
エイヘルセイム参謀総長は28日、ワシントンで開かれた会議で、人道法を順守することを除けば、提供する兵器の使用には何の制限も設けないと述べた。そのため、ウクライナ軍はロシア領内のさらに奥深くへ攻撃できるようになる。
昨年8月にジョー・バイデン米大統領が欧州各国に、ウクライナへのF16提供を初めて許可して以来、NATO諸国からF16約65機が提供されることが約束された。
F16はウクライナで、「パトリオット」や「ナサムス」といった西側から限られた数だけ供与された地対空迎撃ミサイルシステムと共に使用される。
同戦闘機はまた、ロシアの滑空爆弾に対する防御にも役立つ。滑空爆弾は、無誘導爆弾に飛び出す翼キットと誘導モジュールを装備したもので、アメリカの統合直接攻撃弾(JDAM)に似た、射程圏外からの精密打撃を可能にする。
ゼレンスキー氏は先に、9月にもバイデン氏にウクライナの「勝利計画」を提出すると述べていただけに、戦闘機の破壊は痛手だ。
ゼレンスキー氏はまた、ウクライナが最近、国産弾道ミサイルの発射実験に初めて成功したことを明らかにしたが、それ以上の詳細は明かしていない。
(英語記事 Ukraine F-16 destroyed during Russian attack, BBC told)