2024年8月30日(金)

BBC News

2024年8月30日

パレスチナ自治区ガザで25年ぶりにポリオの感染が確認されたことを受け、子どもへの予防接種を計画している世界保健機関(WHO)は29日、イスラエルが戦闘の「人道的一時休止」で合意したと発表した。

WHOのリック・ピーパーコーン氏によると、予防接種はガザ全域で子ども約64万人を対象にしており、9月1日から開始する。

ガザ中部、南部、北部の3段階に分けて実施。各段階で戦闘は、3日連続で午前6時から午後3時まで休止される。

ガザにはすでに、新型の経口ポリオワクチン2型(nOPV2)が約126万人分、運び込まれている。さらに40万人分が近く届けられる。

予防接種は「パレスチナ保健省がWHO、ユニセフ(国連児童基金)、UNRWA(国連パレスチナ難民救済事業機関)と協力して」実施するという。保健および地域支援の職員2000人以上が、接種の訓練を受けている。

国連は今月中旬、ガザで25年ぶりにポリオ感染が確認され、生後10カ月の赤ちゃんの体の一部がまひしたと発表した。

WHOは、ワクチン接種率の目標をガザ地区全土で90%としている。ウイルス感染を食い止めるのに必要とされるレベルで、達成のために必要ならば、人道的戦闘休止を4日に延ばすことで合意しているという。

「停戦ではない」とイスラエル首相

ガザのイスラム組織ハマスのバセム・ナイム氏は、「(予防接種の実施に関して)国際機関と協力する用意ができている。ガザ地区の65万人以上のパレスチナの子どもたちを守る」とロイター通信に話した。

一方、イスラエルのベンヤミン・ネタニヤフ首相は、予定されている3日間の戦闘休止について、「停戦ではない」と述べた。

ポリオウイルスは感染力が非常に強く、下水や汚染された水を通して感染することが多い。

手足などのまひを引き起こすことがあり、死に至らせる場合もある。主に5歳以下の子どもがかかる。

WHOによると、ガザと、イスラエルが占領するヨルダン川西岸の両地区での予防接種率は、現在の紛争前は適切で、2022年には推定99%だった。しかし、最新のデータによれば、昨年は89%に下がった。

イスラエル軍は7月、兵士へのワクチン接種を開始したと発表した。

イスラエル人の人質解放を求めている「人質家族フォーラム」で広報を担当するハガイ・レヴィン教授は、拘束されたままの人々もワクチン接種の対象とするよう保健当局に求めた。

ハマスは昨年10月7日にイスラエル南部を襲撃し、約1200人を殺害し、251人を人質に取った。これを受け、イスラエルはハマス壊滅を掲げてガザで報復作戦を開始した。

ハマス運営のガザ保健当局は、イスラエルの攻撃でこれまでに4万530人以上が殺害されたとしている。

(英語記事 Israel agrees to pauses in fighting for polio vaccine drive

提供元:https://www.bbc.com/japanese/articles/c4gl5w835rdo


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