2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月10日

 2014年1月1日付カーネギー国際平和財団のサイトで、C.Raja Mohan同財団上級研究員は、日本は数十年の平和主義から脱し、台頭する中国に積極的に対応しながら、今や地域の地政学に影響を与える存在になっている、と述べています。

 すなわち、新年を迎え、アジアには、今までと異なる日本がある。日本は、長年にわたり平和主義を堅持し、戦略的には重要な役割を担わずに来たが、今や中国の台頭にしっかりした対応を示し、地域の地政学を揺るがすほどになっている。日中戦争というのは言い過ぎだが、日中間の緊張は、もはやアジアでは当たり前のことになっている。

 インドは、今月末、安倍総理を共和国記念日の主賓として迎えるが、そのインドも、地域の他国同様、アジアの安全保障秩序を形成するという日本の決意を受け入れなければならない。1年前政権に復帰した安倍は、日本の軍事戦略の変更に取りかかった。彼は、今後5年間、2400億ドルまで、防衛費を5%増額することを提案した。しかし、安倍は、日本が防衛費を上げても、中国人民解放軍の予算と規模にはとても追いつかないことを認識し、日本を先端技術分野で発展させ、中国の弱点に注目して、中国と立ち向かう戦略を追求している。

 最近発表された日本で初の国家安全保障戦略では、拡大する中国の軍事的挑戦に対する「ダイナミックな抑止」と「積極的防衛」の重要性が強調されている。日本は、今や、独自の海兵隊を開発し、無人機ドローンを防衛計画に組み込み、軍事情報能力を強化しながら、中国の空と海の侵入に効果的かつ迅速に対応しようとしている。

 安倍は、軍事戦略の変化を政策変更及び機構改革で補強しようとしている。例えば、武器禁輸を解除し国内防衛産業基盤を強化したいと思っている。そして、安倍は、地域の安全保障のために他国と協力するために日本が課してきた政治的制限を解こうとしている。

 また安倍は、国家安全保障会議(NSC)を創設した。それによって、日本は、防衛、安全保障、外交、それぞれの政策をより調整しやすくなる。

 安倍は、日本のみでは、日に日に拡大する中国の総合力にはバランスできないことを知っている。そこで、安倍の戦略の中心は、同盟である。特に米国との長い同盟関係は重要である。ただ、日本には、中国が台頭する中、米国は本当に日本を防衛してくれるのか、疑問を持つ者もいる。

 ワシントンでの議論を注視しながら、日本は、出来る限り米国との同盟を堅持する決意である。その間、安倍は、日本の防衛能力を強化し、主要なアジア諸国と戦略的パートナーシップを結ぶことに焦点を当てている。昨年、安倍は忙しい中でもASEAN10カ国を歴訪し、12月には、東京で、ASEAN首脳会議を開催した。


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