2024年12月23日(月)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2014年2月7日

 1月4日号のエコノミスト誌の社説は、靖国参拝は安倍総理なりに各種状況をよく考慮した上での決断だったのだろうという分析をしています。

 すなわち、安倍首相の靖国参拝は外交的大失敗であったように見える。ただ、安倍氏は参拝に際して、失うものはほとんどないと思ったのかもしれず、国際的な反応を受け、参拝の決断はやはり正しかったのだと改めて思っているかもしれない。

 小泉総理が過去に6回靖国を訪問した際、米国は沈黙を守ってきたが、今回は「失望」を表明した。

 しかし、その非難はかなり穏やかなもので、日本「及びその近隣諸国」が関係改善のため協力するよう求めるものであった。また安倍氏にとって、中韓の脅しはたいしたものではないのかもしれない。朴政権と日本の関係が冷え切っているのは、米国にとって懸念事項ではあるが、一般の韓国国民やビジネスに関してはその限りではない。

 また中国政府も、反日運動を煽ったり、経済制裁を課したりということはしていない。

 安倍氏の賭けは、今のところかなりリスクが低いようである。靖国参拝は、屈辱的な戦後の平和憲法から日本を解放しようという安倍氏の欲求に沿うものであり、そのタイミングもよく計算されたものであった。

 また、安倍氏の行動は、概して好意的な地域諸国の姿勢に触発された可能性もある。安倍氏は就任後ASEAN諸国すべてを訪問したし、昨年12月には日・ASEAN首脳会議も開催した。カンボジアのような長年の親中国ですらも、飛行の自由の重要性を訴えるステートメントに賛同するようになっている。

 靖国参拝は、今後毎年の恒例行事となるかもしれない、と述べています。

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 安倍総理の靖国参拝について、戦勝国的又は通俗的価値観を離れた、冷静、客観的な、情勢判断です。


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