安倍の姿勢は、ASEANが中国の勢力圏に入るのを日本は傍観しない、ということを示すものである。歴史認識に厳しい中韓と異なり、東南アジアはより寛容である。日本の帝国主義の記憶にかかわらず、ASEANは、日本が地域の安定的バランス維持に積極的に貢献することを期待している。インドも、安倍のアジア戦略を高く評価していて、安倍の訪印が両国関係発展につながることを願っている。
日本の新戦略はハード・パワーに限定されない。文化の面でも、中国が影響力を拡大してきたことを認識して、安倍は「クール・ジャパン」構想を立ち上げた。昨年11月、日本は、10億ドルの基金を、食料、飲料、漫画本やアニメ映画を含む日本文化の輸出に充てることを決めた。新ソフト・パワー戦略の一環として、日本は、今年、東南アジアのテレビ視聴者向けに「ジャパン・チャネル」を開始している、と述べています。
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筆者のC.Raja Mohanは、カーネギー財団の在外上級研究員で、主に、国際安全保障、防衛、アジアの戦略問題を専門としています。彼は、また、ニュー・デリーの政策研究センターの上級研究員でもあり、インドの英字紙Indian Expressのコラムニストでもあります。現在、インドの国家安全保障諮問委員会の委員です。
上記は、2014年元旦付けで、米カーネギー国際平和財団のサイトに掲載された論説ですが、もともとは、同日付けのIndian Express紙に載った記事です。
アジアと言っても、中韓とASEAN諸国やインドは異なる、と明確に表現しています。安倍政権の外交、安全保障戦略を評価し、久々に日本が、戦略を有して、主体的に行動している、と述べています。
1月5日~8日の小野寺防衛大臣のインド訪問、1月9日からの安倍総理の中東、アフリカ訪問、1月9日の日仏「2+2」、1月25日~26日の安倍総理のインド訪問等、外交日程を見ても、モハンの言う安倍戦略が理解できそうです。
安倍総理のインド訪問を迎えるにあたって、軍事安全保障に関する日本の役割を認め、積極的に歓迎と協力の意を表した論説です。
「インドは、地域の他国同様、アジアの安全保障秩序を形成するという日本の決意を受け入れなければならない」…「インドも安倍のアジア戦略を高く評価していて、安倍の訪印が両国関係発展につながることを願っている」と言っています。
インドの地元の論説まで全部調べたわけではなく、たまたま米国内に表れたインド系の論説を拾っているだけではありますが、注目すべきは、この前の天皇陛下御訪印の際の論説を見ても、このような論説に対してバランスをとるような論説、すなわち、中国の反応を忖度して、日印接近に歯止めをかけようと言う論説が全く見当たらないことです。
日印関係を、中国を意識して、準同盟関係に持って行く機は十分に熟しているように思われます。
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