米東部マサチューセッツ州ボストンの連邦地裁は12日、米国防総省の機密文書をインターネット上に流出させたとして元米軍州兵ジャック・テシェイラ被告(22)に禁錮15年の判決を言い渡した。この事件は、近年で最も注目を集めた機密情報をめぐる事件の一つ。
マサチューセッツ州の空軍州兵だったテシェイラ被告は地図や衛星画像、アメリカの同盟国に関する情報などを入手。これらをゲーマーに人気のオンライン・プラットフォームに投稿した。
テシェイラ被告が共有したものの中には、ウクライナでの戦争に関する機密情報も含まれていた。
昨年4月にマサチューセッツ州の自宅で逮捕されたテシェイラ被告は、同年6月にスパイ防止法違反など6件の罪で起訴された。
今年3月には裁判で、国家防衛情報を故意に保持し送信したとする6件の罪状について有罪を認めていた。
検察はインディラ・タルワニ判事に対し、テシェイラ被告について16年6カ月の実刑判決を求めていた。
一方の弁護団はテシェイラ被告が高校時代や所属部隊でいじめの標的となり、孤独感に苦しんでいたとし、寛大な量刑を求めていた。
こうした中で検察は、同被告が「諜報活動取締法に対するアメリカ史上最も重大かつ結果的な違反の一つを犯した」として、より長い刑期を求めた。
「テシェイラ被告は自国へのリスクを理解していながら、それでもなお実行に移した」と、検察は12日、タルワニ判事に述べた。
タルワニ判事は判決言い渡しで、「あなたは若く、未来がある。しかし、これは重大な犯罪だ」と被告に述べた。
裁判を傍聴した記者たちによると、テシェイラ被告は法廷で謝罪し、「すべての責任と結果を負っているのは自分だ」と理解していると語ったという。
階級は下位だったが
テシェイラ被告は空軍の通信ネットワークを維持する情報技術職のスタッフとして勤務し、階級は1等空兵だった。下級の州兵だったが、最高機密にアクセスできる権限をもっていたという。
テシェイラ被告は2022年後半に、ディスコードのサーバー(チャットルーム)で銃や軍のマニアらの小さなコミュニティーと情報を共有し始めた。
当初、共有した文書はグループ内にとどまっていて、被告はオンラインの仲間たちがその重要性に気づかないことに不満を示していた。ほどなくして、機密情報はより利用者の多いチャンネルでも共有されるようになった。
機密文書はさらに、大規模なソーシャルメディアにも流れ、テレグラムの親ロシアのチャンネルや軍事ブロガーらにも取り上げられた。
裁判資料によると、被告は最高機密にアクセスできる権限を得るために、「保護された情報を無許可で開示した場合に刑事責任を問われる可能性がある」ことに同意する「生涯拘束力のある秘密保持契約」に署名していた。
この情報漏えい事件を受け、国防総省は機密情報の取り扱いシステムを調査することになった。
(英語記事 US airman Jack Teixeira sentenced to 15 years in prison)