米ニューヨーク市が来年、同国の都市で初めて、車両の「渋滞税」を導入する。キャシー・ホークル・ニューヨーク州知事が14日、発表した。
ホークル知事によると、来年1月5日から、ニューヨーク市の特定の区域に乗り入れる車に通行料金を課す。「道路の渋滞を解消し、公害を減らし、何百万人ものニューヨーク市民により良い公共交通を提供する」のが目的。
渋滞税の計画は以前から浮上していたが、車で通勤する人々や企業が反発。ホークル知事は6月に急きょ、実施を見送っていた。
来年1月に就任するドナルド・トランプ次期大統領は、この計画について反対を表明している。
乗用車から9ドル
復活した計画では、マンハッタンの中心部(60丁目より南)に日中に乗り入れる乗用車から9ドル(約1400円)を徴収する。当初案では15ドルだったが、引き下げた。小型トラックと通勤用ではないバスからは14.40ドル、大型トラックと観光バスからは21.60ドルをそれぞれ取る。
渋滞税は、ニューヨーク市の地下鉄、バス、その他の公共交通機関を管理する都市圏交通公社の財源となる。同時に、ニューヨークの終わりのない交通渋滞を緩和させる狙いもある。
公共交通機関の利用を促進する立場の団体「ライダーズ・アライアンス」は、渋滞税の計画の復活を歓迎。「この計画が実施され、ライダーが本当に必要としているプロジェクトに資金が提供されるよう、ともに闘い続けていく」とX(旧ツイッター)に投稿した。
トランプ次期大統領が反対
この渋滞税には、トランプ次期大統領が反対している。
13日には保守系のタブロイド紙ニューヨーク・ポストに、「ニューヨーク州知事のキャシー・ホークルをとても尊敬しており、ニューヨークとアメリカを再び偉大にするために一緒に働くのを楽しみにしている。だが、渋滞税に関する判断にはとうてい同意できない」と話した。
トランプ氏が年明けに大統領に就任する直前に、今回の制度は導入されることになる。
地元の共和党関係者はトランプ氏に、この計画に介入するよう求めている。マイク・ローラー下院議員は、「渋滞税という不合理な現金収奪をきっぱりと終わらせる」よう、トランプ氏に願い出ている。
一方、ホークル知事は、ワシントンで誰が権力を握るかに関係なく計画を進めるつもりだと、13日の記者会見で述べた。
批判的な立場の人々からは、大統領選および連邦議会選の1週間後に今回の計画が復活したとの指摘が出ている。
(英語記事 New York to become first US city to have congestion charge)