2024年11月7日(木)

キーワードから学ぶアメリカ

2024年11月7日

 2024年米大統領選は、共和党候補のドナルド・トランプが当選を確実にした。米大統領選は50州とコロンビア特別区(首都ワシントンD.C.)に割り当てられた選挙人の数をめぐって争われることになっており、43の州とコロンビア特別区での勝敗は事前にほぼ明白だったため、残る接戦7州の結果で勝者が決まるとされていた。

敗北宣言をしたハリス。民主党はどう立て直すのか(ロイター/アフロ)

 大方の予想では、直前に何らかの問題発言や事件等が起こらない限り、接戦州ごとの事情で勝敗が決まり、選挙人票もほぼ互角になって、結果判明までに数日を要する可能性もあるとされていた。だが実際には、7州全てをトランプがとる可能性もあるとされている。

 一般投票の数ではあまり大きな差がつかない可能性が高いが、選挙人票の数字を見ればトランプ「圧勝」という印象になるだろう。物議を醸す発言や行動が多く、弾劾裁判も刑事訴追も経験し、勝利した場合には「報復」を行うと宣言している人物の返り咲きを認めるというのが米国の民意である。

 民主党は連邦議会議事堂襲撃事件について、憲法を支持すると宣誓して官職に就いた後に米国に対する暴動や反乱に関与した者は国や州の官職に就くことができないと定める憲法修正第14条3項違反でトランプを訴訟することなども考えているかもしれない。だが、今回の選挙は民主党の明確な敗北である。民主党は敗北を認めて、党の在り方を見直すよう迫られるだろう。

ハリスの弱さ

 今回の選挙では、カマラ・ハリスもトランプも共に弱い候補だと考えられていた。

 ハリスは7月のジョー・バイデンの大統領選挙からの撤退を受けて予備選挙を経ずに大統領候補となった。民主党は激しい路線対立を抱えており、ハリスは仮に予備選挙を経験していれば党の候補になれなかった可能性は高いため、幸運の持ち主だと言えるだろう。

 だがハリスは、予備選挙を経て自らの政策を積極的に打ち出す機会を持てなかったがゆえに、本選挙段階で自らの色を出すのが難しくなった。ハリスはトランプもバイデンも嫌だという消極的な理由から選ばれたのであり、その政策が支持されたわけではない。そのため、ハリスが明確な政策的立場を示すと、党内から反発が発生した。


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