2024年12月11日(水)

バイデンのアメリカ

2024年6月26日

 米国2大政党の1翼を担う共和党有力幹部たちが、不倫もみ消し裁判での前大統領「有罪判決」を受け、裁判制度そのものを一斉に糾弾、三権分立に支えられた米国民主主義に疑念を呈する過激な言動がめだっている。

トランプへ「有罪」の評決が下された後、トランプと距離を置いていた共和党員からもトランプ支持への動きがでている(ロイター/アフロ)

「裁判はインチキ」

 「判決は不当であり、裁判そのものがゆがめられている」――。米議会トップの座を占めるマイク・ジョンソン下院議長(共和)は先月30日、ニューヨーク州裁の陪審団がトランプ前大統領に「有罪」の評決を下した直後、SNSの「X」を通じトランプ氏の立場を全面擁護する以下のような声明を出した:

 「5月30日というこの日は、米国史にとって汚辱の日にほかならない。民主党は、弁護士資格をはく奪された犯罪人の証言をもとに対立政党指導者を滑稽な容疑ででっち上げ有罪にした。わが国司法システムの“武器化(weponization)”はバイデン政権の看板であり、この日の評決は、民主党が異議と政敵を沈黙させるためにいかなることでもすることを示す新たな証拠である。米国民はこの裁判を『lawfare』(法を武器とした戦争)とみなしており、間違いであることを理解している。トランプ前大統領は当然のことながら、控訴するだろうが、彼は必ずや勝つ!……有罪判決はかえって11月の選挙で彼を大統領に導くことになる」

 米マスコミは、三権分立の一翼を担い一定の見識が求められる議会最高指導者が、裁判そのものを酷評し、被告への一方的肩入れ表明したことを一斉に報じた。

 AP通信はその前日、ジョンソン議長が陪審評決に先立ちニューヨーク市マンハッタンの裁判所前に自ら姿を見せ、「裁判はインチキだ」「司法制度は腐敗している」などと語ったことも紹介している。

 下院共和党では、ジョンソン議長に相乗りし、多くの議員たちが反発、一斉にニューヨーク州裁のトランプ有罪判決を一蹴する声明や発言があいついだ。


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