11月米大統領選に向けバイデン、トランプ両候補が直接対峙する最初のTV討論会が、来る27日に行われる。トランプ候補が大統領経験者として史上初の有罪判決を受けた直後であり、そのやり取りは今後の有権者の投票判断を大きく左右するだけに、国内のみならず世界が注視する“世紀のディベート”となりそうだ。
これまでにない注目集める討論会
バイデン大統領再選委員会は先月15日、本選を前にトランプ候補との第一回討論会を6月27日に、二回目を9月10日開催の意向を表明した。トランプ陣営も即日、同提案を受諾すると発表した。今選挙での直接対決は、この2回だけとなる。
筆者はこれまで、1976年ジミー・カーター(民主)対ジェラルド・フォード(共和)、80年カーター対ロナルド・レーガン(共和)、88年ジョージ・ブッシュ(共和)対マイケル・デュカキス(民主)、92年ブッシュ対ビル・クリントン(民主)、96年クリントン対ボブ・ドール(共和)、2016年ヒラリー・クリントン(民主)対ドナルド・トランプ(共和)の過去6回の大統領選を直接現地取材してきた。
いずれの選挙においても、事前に有権者向けのTV討論会が行われた。しかし、今回ほど、全米有権者はもとより世界中が異常なほどに関心を寄せるディベートをかつて知らない。
その理由として以下のような点が挙げられよう:
1. 再選を果たせなかった前大統領が史上初めて再挑戦する
2. 挑戦者としてのトランプ候補は「刑事犯罪人」としての十字架を背負って登壇する
3. トランプ候補は、自らがいまだに公式に大統領として認知していないバイデン候補と2020年以来初めて対面で直接対決する
4. 国内、世界に重大な影響を及ぼしかねないトランプ候補の大統領としての内外政策に関する重要な“施政演説”となる
5. 過去の大統領選ディベートより実施時期が3カ月も早く、しかも回数はこれまで慣例となって来た3回ではなく2回のみに限定される