2024年7月3日(水)

バイデンのアメリカ

2024年6月12日

「トランプ裁判」による影響

 さらに、第一回討論会は、トランプ氏がニューヨーク州陪審裁判で、不倫もみ消し事件をめぐる34の罪状すべてで歴史的ともいえる「有罪」判決が出た直後に行われるだけに、バイデン陣営にとって願ってもない“追い風”となる可能性が大きい。

 この点に関連し、去る3日、米ABCテレビが評決結果について、調査機関「Ipsos」と合同で実施した最新世論調査によると、①50%が「正しい」、27%が「間違っている」、23%が「どちらともいえない」と回答、国民の過半数が「トランプ有罪」を支持していることが明白となった。

 さらに同調査では、有罪判決をきっかけに、トランプ氏が大統領選挙戦から「撤退すべき」と回答した人が全体の49%(昨年の同様調査では43%)にも達していることがわかった。共和党員の中でも16%が「撤退」を支持したという。

 別の世論調査機関「Morning Consult」の1日付け調査結果でも、「共和党支持者」の15%、「トランプ支持者」の8%が「撤退」支持を表明、合わせて23%近くがトランプ候補への投票に慎重となっていることがわかった。

 さらに、勝敗を大きく左右するとみられる無党派層の間では、「撤退」支持が52%に達しており、トランプ陣営にとって今後の懸念材料となりかねない。

 トランプ氏自身も、こうした裁判結果が及ぼす悪影響に備え、ただちに予防線を張った。「有罪評決」が出された先月30日当日、閉廷後の記者会見で裁判自体が“茶番と捏造”だと酷評、以下のように語った:

 「この裁判で問われた罪状はすべてでっち上げであり、自分は何一つ悪事を働いていない。最初から無実だ。その弁明のための証言を法廷でしようともしたが、少しでも間違った発言でもしたら、偽証罪に問われるかもしれないので、弁護士から引き止められた。とにかくこの裁判は審理も陪審判決もでたらめだ。本当の審判は11月5日(大統領選)当日、人民が下すことになる」

 「陪審判決含め裁判すべてが、ホワイトハウスが司法省と企んで進められたものだ。すなわち、万事、バイデンとその輩たちによる悪事に他ならない」(筆者注;同事件は実際は、国とは無関係のニューヨーク州検察が同州法に基づき摘発、裁判に持ち込まれたしたものであり、ホワイトハウスおよび司法省は最初から無関係)

 「ジュアン・マーチャン担当判事も、わけのわからない攻撃的な性格の持ち主であり、自分に対し公判中そしてその後も発言を封じる『かん口令』を課してきた。とにかくやることが悪質であり、病んでいる。彼は天使のような装いをしているが、中身は暴君であり、悪魔だ」

 続いて今月2日には、熱心なトランプ支持TV局で知られる「FOX NEWS」番組に出演、司会者との90分にわたるやり取りを通じ、「裁判の欺瞞性」「バイデンによる画策」「担当判事の悪質性」「自らの無実」など、自説を繰り返し吐露した。


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