7人の議員からなるオクラホマ州選出下院議員団も、即日、トランプ被告支持声明を発表、「インチキ裁判の典型だ」「米国にとって暗黒の日」「米国民はニューヨーク民主党が介入したこの裁判を決して許さないだろう」などと糾弾した。
トランプを支持し始めた共和党たち
また、これまでトランプ氏同様の過激な動きを見せる下院共和党とは一定の距離を置いてきた上院共和党議員団の間でも、トランプ支持の動きが出始めている。
共和党上院トップのミッチ・マコーネル院内総務はその代表格だ。
マコーネル議員は、トランプ政権末期の 2021年1月6日、米政界を揺るがした連邦議事堂襲撃・占拠事件について、「トランプに直接の責任がある」と同氏を批判して以来、没交渉となり、その後も、ウクライナ情勢めぐり、支援に消極的なトランプ氏との対立は深まる一方だった。同議員の息のかかった他の上院共和党議員の中でも、“トランプ離れ”が広がった。
ところが、大統領選共和党候補選びでトランプ氏の同党指名獲得が明白となった今月5日、マコーネル議員はこれまでの沈黙を破り、突如として、トランプ候補を支持する以下のような声明を発表、AP通信なども「驚くべき変身」だとして大きく報じた:
「トランプ候補は、これまでの予備選を通じ、共和党候補として欠かせない有権者の十分な支持を獲得したことが明白となった。私は彼が、共和党指導者としてバイデン政権に対峙し、米国民の暮らし向上のための諸政策を推進することを楽しみにしている」
その後、「トランプ有罪判決」について、マコーネル議員は直接論評を控えているが、他の共和党上院議員有力員の間からは「裁判はでたらめであり、トランプ候補の選挙戦を妨害するものだ」(次期院内総務候補のリック・スコット議員)、「真の裁きは11月大統領選投票日だ。トランプ候補の下に結集し、ホワイトハウスを奪回しよう」(ジョン・コーニン議員)、「最初から党派性をむき出しにした判決だ。共和党は11月選挙で復讐しよう」(ジョン・バラッソ上院共和党会議議長)などの発言が目立った。
もちろん、共和党上院議員全員が、今回の裁判結果そのものを声高に批判し続けているわけではない。
「11月の大統領選、議会選挙に向けて、トランプ判決問題だけでなく、わが党にとって最善の戦術は、バイデン政権の政策の弱点をつくことだ」(ジェリー・モーラン議員)、「最大の過ちは、経済や移民問題、世界における米国の地位低下といった直面する問題から焦点をそらすことだ」(トム・テイリス議員)といった正論も議員の間から聞かれる。
しかし、政治メディア「Politico」によると、共和党上院議員の中でも、トランプ裁判の評決直前に、ニューヨークまで足を運び、トランプ氏への「連帯表明」に加わったメンバーも少なくなく、今や上下両院通じ、共和党全体のムードとして、現下の司法制度そのものへの激しい攻撃に重きを置く動きが支配的になっているという。
トランプ裁判の行方は
しかし、もともと今回の裁判は民主党色の濃いニューヨーク州内で行われてきたとは言え、トランプ氏に「有罪審決」を下した12人の陪審員団については、極端な思想の持主などは初めからメンバーから除外され、可能な限り公平性と信頼性を確保できるよう、慎重に選び抜かれ、検察、弁護団双方も了解の上で決定されたものだった。
メンバーの中には、共和党支持者とみられる市民2人も含まれていた。しかも、陪審員評決は「全員一致」が原則であり、もしこの2人が審議の過程で最後まで「有罪」とすることに同意しなかったとしたら、結果として「誤審(mistrial)」となり、トランプ被告は無罪放免となるはずだった。