2024年11月23日(土)

バイデンのアメリカ

2024年6月26日

 現実には、この2人含め全員一致で「有罪」が導き出された。米国民主主義の精神が生かされたまっとうな結論だったと言えよう。

 そして、もし、被告がこれを不服とする場合、「控訴」が認められており、実際にトランプ弁護団は、控訴の準備に入っていると伝えられる。ただ、その場合でも、控訴審での再審理の結論が出るのは、早くて来年以降になるとの見方が支配的だ。

 ところが、トランプ被告の事実上の“支配下”にあるこうした多くの共和党議員たちは、この判決結果に異議を唱え、裁判制度そのものを糾弾しようとしている。これは、米国民主主義の柱を突き崩そうとする暴挙と言わざるを得ない。

大統領選の結果も受け入れない可能性

 それだけにとどまらない。

 11月の大統領選挙でトランプ候補が敗北した場合についても、共和党議員たちが、その結果を素直に受け入れるかどうか、早くも疑問の声が挙がっている。

 市民監視団体「各州統合行動委員会(States United Action)」の追跡調査によると、前回20年大統領選挙の際、選挙結果に公然と異議を唱え、バイデン大統領の就任を否認した”election deniers”と呼ばれる共和党議員は、上下両院合わせ170人に及んでいる。

 その中には、ジョンソン現下院議長も含まれており、同議長は当時、選挙結果否認運動で中心的役割を担った人物としても知られる。

 そして、今年の議会選挙でも、これらの議員のうち、下院で最低50人、上院で3人が再選めざし立候補しており、当選を果たした場合、「バイデン再選」阻止の構えを見せている。

 上院共和党の実力者でいずれも、副大統領候補の呼び声高いティム・スコット(サウスカロライナ州)、マルコ・ルビオ(フロリダ州)両議員も最近、TV会見で「11月大統領選挙で、バイデン、トランプのどちらが当選してもその結果を受け入れるか」と聞かれたのに対し、あえて確答を避けたことも大きな話題となった。

 こうした共和党議員たちの動きについて、ニューヨーク大学「正義と民主主義センター」のウェンディ・ワイザー副所長は、AP通信に対し、「極めて憂慮すべき事態だ。デモクラシーそのものは、参加者が選挙の結果を受け入れた時にのみ、機能する。それが政治システムというものだ」として、警鐘を鳴らしている。

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