2024年12月25日(水)

世界潮流を読む 岡崎研究所論評集

2024年11月14日

 ワシントン・ポスト紙(WP)コラムニストのイシャーン・タルールが、10月23日付け同紙解説記事において、主要新興国グループBRICSについて中国・ロシアとインド・ブラジルの間には思惑の違いはあるが、今後とも、グローバル・サウスの協力の枠組みとして拡大していくことから、西側としても真剣に対応する必要があると解説している。

着実に拡大が進んでいるBRICS (代表撮影/ロイター/アフロ )

 ロシアが主催したBRICSサミットの目的は明確で、ウクライナへの侵攻により、西側による広範な制裁を受けるロシアが国際的に孤立していないことを是が非でも示そうとしたものだ。プーチンは、「共通の価値観、共通の開発ビジョン、そして最も重要なこととして、互いの利益を考慮に入れる原則」をグローバル・サウスの国々と同盟して擁護すると述べた。

 しかし、彼は今年初めには、BRICSは米国主導の「古典的な植民地主義」を打倒する努力に取り組むのだ、と率直に述べていた。習近平は、西側の「覇権」に代わる中国の選択肢を頻繁に売り込んでおり、自国のロシアとの密接な関係を、不確実な時代の防波堤として賞賛した。ロシアも中国も、BRICSを、敵対的な欧米に対して防衛し対決するための非欧米諸国連合のための機関と見なしている。

 BRICSはすでに人類の人口のほぼ50%を占めており、まもなく世界の多数派を反映するであろう。それでも、グループとしての存在感は、その参加国の総和に比べてまだ弱いと言える。

 その主要なプレーヤーは、政治システムから地理的、地政学的および経済的利益に至るまで大きく異なっている。ウクライナやガザのような重要な地球規模の問題についても原則とアプローチが異なっており、国際貿易の米ドルへの依存からの離脱や、米国の経済制裁の脅威を緩和することなど、ブロック指導者が掲げる広範な野心のいくつかについて完全に一致しているわけではない。

 ブラジルやインドは、欧米の影響力が衰退する時代に、新たな「多極」世界の形成を促進する組織としてBRICSの包括的な哲学に賛同するかもしれないが、彼らは反欧米同盟に加入することには興味がない。両国とも当初、ブロック拡大への動きに、自国の影響力を弱めるための試みと見なして懐疑的であった。両国のアナリストの中には、このグループからの脱退論もある。

 一部のアナリストは、ロシアがBRICSを反欧米の道具として振り回すのであれば、ブロックは完全に壊れるリスクがあると主張している。


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