メンバーシップについては、今年からエジプト、アラブ首長国連邦、イラン、エチオピアの4カ国が加わり(政権交代したアルゼンチンは招聘を断り、サウジアラビアは依然として検討中とされている)、また、新たに「パートナー国」というカテゴリーが設けられ、その基準は不明確だがトルコ、インドネシア、アルジェリア、ベラルーシ、キューバ、ボリビア、マレーシア、ウズベキスタン、カザフスタン、タイ、ベトナム、ナイジェリア、ウガンダの13カ国が招待された。
イランが正式メンバーとなり、キューバ、ボリビア、ベラルーシ等がパートナー国となったことは親露派の増加として留意を要する。他方、NATO加盟国のトルコや東南アジア諸国連合(ASEAN)4カ国がパートナー国となることは、反米同盟化の歯止めともなろう。
今後を展望するに際しては、米中経済対立やウクライナ危機の中でこれまでのBRICSの在り方が変質しつつあることは認識する必要があるであろう。主要7カ国(G7)に対抗する20カ国・地域(G20)のコーカスとしての位置付けから、参加国を拡大しグローバル・サウスのための協力機関へと変貌しつつある。ロシアや中国は、引き続きグローバル・サウスを自らの側に引き寄せるために利用しようと試み続けるだろう。
グローバル・サウスの不満にどう対応するか
今後、BRICSは欧米中心の国際経済秩序の改革についてグローバル・サウスの意見を集約する場として発展していくと考えられるので、西側としては、この記事が指摘するようにグローバル・サウスの不満に真摯に対応する姿勢を示すと共に、西側としての対応策も考慮する必要がある。
例えばブラジル、アルゼンチン、インドネシア等のOECD加盟を促進すること、インド・ブラジルとの関係強化に努めること、IMFや世銀におけるグローバル・サウスの地位向上に柔軟に対処すること、また、OECEを利用する等先進国とグローバル・サウスの新たな対話と協力の場を設定するといったことも検討するべきではないだろうか。