2024年12月5日(木)

Wedge REPORT

2024年11月7日

 日本で最も広大な人間の創造物である人工林。それは、植付での工夫から始まり、過酷な下刈へと続くことを前回「〈熱暑の下刈が最大の試練〉山村の女性が作り上げた人工林、過酷な作業の改善は柔軟な発想から」で紹介した。

 植付から5~6年間、毎年夏季に下刈を繰り返した効果で、造林木が雑草木の上に伸びて負けないようになると下刈は終了で、約10年生までそのままおいておく。10年生になると、また広葉樹が伸びてきて造林木と競合するようになるので、今度は生育を妨げる樹木を刈り払う除伐を実施する。

写真 1 達成感のある除伐(筆者提供、以下同)

 除伐の適期は、夏季でなく秋から冬である。この時期だと除伐木の成長が休止に向かうので、除伐後に萌芽・再生しにくくなる。また、夏季は造林木の樹皮が剥げやすくて除伐木が当たると傷になりやすい。

 除伐は、下刈と違って楽しい作業である。季節は涼しく快適である。そもそも、造林作業は単純な肉体労働で面白くないように思われるだろうが、大自然の中での地形の変化に対応しながら、鎌や鉈(なた)を振って、存分にきれいな空気を吸って汗をかく。爽快さ抜群、ストレスは雲散霧消する。

 これを体験すれば、上司の顔色を伺いながら室内でする事務などと比ではない。人間本来の野性を取り戻す。雑木に埋もれた造林木を刈り出すと、造林地が見違えるようになって達成感がある。仕事でも楽しいのだから、ボランティアの対象作業としては最適で、みんなに喜んでもらえる。


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