2024年12月7日(土)

バイデンのアメリカ

2024年11月8日

 今回の米大統領選で、カマラ・ハリス民主党候補は史上まれにみる大接戦を最後まで演じながら、結果的に大敗に終わった。しかし、善戦した。2028年選挙に再挑戦するとしたら、ホワイトハウス奪還も遠い夢ではない。

大統領選で敗れたハリス氏の今後の動きにも注目だ(AP/アフロ)

“逆境下”での戦いだったハリス

 選挙の敗因について、さまざまな分析や指摘が今後、内外マスコミで予想されるが、筆者は投票日直前の本コラムの記事「<ハリス陣営最後の賭け>トランプ「危険な資質」徹底攻撃は奏効するか」中で、ハリス氏が候補としての3つのハンディキャップをスタート時点から抱えてきたことを指摘した。

 すなわち、女性であり、黒人であり、そしてバイデン大統領の突如の“代打”故の準備不足だった。

 この中で特に致命的だったのが、選挙戦に向けての態勢づくりがわずか3カ月前という厳しい条件下での戦いだったという点だ。

 米国政治史上、今回のようなわずか100日余りの選挙期間での激戦を強いられたのは、おそらく今回のハリス氏が初めてだろう。いわば、かつてない“逆境下”での挑戦だった。

 一例を挙げれば、総指揮を執る選対本部長はじめとする陣営は、バイデン大統領、ビル・クリントン、バラク・オバマ両元大統領、ヒラリー・クリントン元大統領候補ら当時の選挙参謀らが指揮するにわか作りの“混成チーム”となり、有権者向けに訴えるべきメッセージも「ハリス色」を最後まで打ち出せなかった。

 陣営をより具体的に振り返ると、2020年大統領選でバイデン氏の選対本部長だったジェン・オマリー・ディロン氏が今回もハリス選対本部長を務めたほか、最高顧問に08年選挙でオバマ氏の戦略本部長だったデービッド・プラウフ氏が、オバマ氏が再選めざした12年当時の上級スタッフだったステファニー・カッター氏が選対副本部長に、16年大統領選挙でクリントン候補の選対広報担当次長だったブライアン・ファロン氏が今回、広報担当シニア・アドバイザーを務めた。

 ハリス副大統領のシニア・スタッフたちは、あくまで脇役だった。


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