・今後4年間の次期政権を通じ、これまでの10年近くにおよぶ「トランプ時代」に対する国民のムードが“倦怠感”に変じる恐れもある。
すでに今回の選挙戦で、最終盤を迎えた去る1日のウィスコンシン州ミルウォーキー、2日のノースカロライナ州グリーンズボロ、3日のペンシルベニア州レディング、4日のノースカロライナ州ローリーでそれぞれ行われたトランプ氏の演説会場では、それ以前に見られた聴衆の熱気は薄れ、空席が目立ったほか、支援者たちの一部が演説途中で列をなして退席するシーンが目立った。
このうち、レディング会場では、参加者は収容人員の50%前後で、場内の後部半分は最初から立ち入り禁止のテープが張り巡らされていたことが話題となった。
これから先4年間で、大言壮語に特徴づけられるこれまで同様の“トランプ節”が繰り返されることになれば、政権そのものだけでなく、トランプ氏に振り回されてきた共和党自体も、支持を失う可能性もある。
民主党の変化も不可欠
もちろん、これらのトランプ、バンス次期正副大統領に対するさまざまな懸念が結果として、杞憂に終わる可能性も否定できない。
一方、28年に向けて、民主党自身の課題も今回浮き彫りになった。そのひとつが、小手先の政策転換ではなく、党そのものの在り方だ。
民主党系ながら「無所属」の立場をとるバーニー・サンダース上院議員は、今回、大統領選のみならず、上院でも共和党に多数支配を明け渡したことについて、次のように語っている:
「ホワイトハウスだけでなく、民主党も敗北の責任を負うべきだ。そもそも党として労働者階級を見放してきた以上、労働者たちに愛想をつかされた結果だ。党指導部は現状維持を受け入れてきたが、米国民は怒り、変化を求めている。これらの有権者たちが選挙で示した態度は正しい」
果たして民主党が、28年に向けて、変化できるのか、変化するとすれば、どのような方向をめざすのか、重大な岐路に立たされている。