2026年4月1日(水)

Wedge REPORT

2026年4月1日

 梅雨明けの初夏、筆者は、岩手県からの要請で沿岸地域の建設労働力不足問題の解決策を探るべく、釜石に向かっていた。盛岡南インターから高速に乗り、やがて釜石自動車道へと入る。山肌を縫うようなカーブと起伏を越えていくと、長い仙人峠のトンネルに差しかかる。ふっと光が途切れ、内陸と沿岸を隔ててきた地形の深さを、体で感じるような時間が続く。

 この道は、かつて遠かった両地域を結び直すために、数えきれない建設労働の積み重ねでつくられてきたものだ。トンネルを抜けた瞬間、空気がやわらぎ、海の気配とともに釜石の町が広がる。

東日本大震災から時が経ち、釜石の沿岸部は復興されつつある(Nicolas Datiche / gettyimages)

 高台の釜石大観音は変わらず海を見守り、その足元にある魚河岸テラスは、復興の象徴として静かに佇んでいる。ただ、賑わいはまだこれから、という印象も残る。そこで食べた手頃な鯛丼の温かさが、かえってこの町の日常の歩みのゆっくりさを感じさせた。

 震災から15年。距離は縮まったはずなのに、その変化は地域の働き方や人の流れに、静かに影を落としている。

 筆者は、2017年に岩手県立大学に赴任してから25年までの8年間を岩手県で過ごした。当然、復興過程にある沿岸部にも何度となく足を運んできた。本稿では、そうした現地での経験を手がかりに、震災から15年を迎えた岩手県沿岸部の現在地を、建設労働力不足という視点から読み解いていく。


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