2026年4月1日(水)

Wedge REPORT

2026年4月1日

担い手不足がもたらすもの

 以前に書いた記事でも述べたが(瓦礫を撤去する人がいない…能登半島地震で見えた地方建設業の限界、災害復興の“当たり前”がなくなる日、2026年1月23日)、東北地域は、自然災害が多い地域であるにもかかわらず、建設就業者の減少が著しい。総務省『労働力調査』から東北地方の建設就業者の増減を2000年と20年で比較してみると、「15歳~34歳割合」が4割減少している。

 これは全国平均と変わらないが、「55歳以上割合」をみると、全国が1.5倍に対して、東北地方は1.7倍となっており、高齢化が著しいことがわかる(ちなみに東北地方以上に高齢化が顕著な地域が北海道地方1.9倍、九州・沖縄地方1.8倍)。建設就業者の減少は地域のサスティナビリティを壊す。

 自然災害が起きた際、医療従事者や自衛隊が現地に赴くためには道路の瓦礫を撤去する地元の建設業者が不可欠であるし、避難した住人の仮設住宅を建てる建設業者も必須だ。そればかりではない。小中学校校舎の老朽化が全国的な問題になっているし、埼玉県八潮市の道路陥没事故も下水道管の老朽化が引き金となっている。これらの老朽化対策は建設業者なしには進まない。

 東北地域は豪雪地域も多いので除雪車なしには生活することも困難である。その除雪にあたっているのは地域の建設業者であることが多い。建設業者は見えないところで私たちの命と安心・安全な生活を守っているのである。

人が集まるはずなのに集まらない

 この10年間の岩手県を見てみると、実は建設就業者が増える条件が揃っていた。まずは全国的にも進められてきた働き方改革が建設産業でも進められてきたし、建設業界の人材不足の危機感から給与の引き上げも積極的に進められてきた。

 岩手県建設労働者の年収は、10年前まで、県内全産業の年収と比べて50万円近く低かったが、いまやほとんど差がなくなっている。また復興需要による工事量増大の影響も大きい。岩手県の公共工事請負金額は、10年に1692億円だったが、震災後は5000億円前後で推移していた。このように建設就業者が増える条件は揃っていたのである。

 しかし、就業者は劇的に減少している。つまり、岩手県の建設就業者は05年の8万8483人から20年の5万6089人へと4割近く減少している。結論から言えば、復興需要は沿岸部の就業者を一時的に増加させただけなのだ。


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