ロシア政府は19日、ウクライナがアメリカに提供された長距離ミサイルを、初めてロシア国内に撃ち込んだと発表した。
ロシア国防省によると、ウクライナはロシア時間午前3時25分(日本時間午前9時25分)、アメリカ製「陸軍戦術ミサイルシステム(ATACMS、エイタクムス)」で、西部ブリャンスク州を攻撃したという。
国防省は声明で、ミサイル5基を撃墜し、1基を損傷させたと発表。落下した破片のため軍事施設で火災が起きたが、すぐに消し止められ、死傷者はなかったとした。
ロシア国土として国際社会が承認している場所の攻撃に、長距離ミサイルが使用されるのは初めて。これに先立ちアメリカ政府は、ATACMSをロシア領攻撃に使うことをウクライナに認めたと報道されている。
ウクライナのメディアは、アメリカ製ミサイルの使用を伝えているが、ウクライナ政府はまだコメントしていない。
ウクライナ軍は、ブリャンスク州で武器庫を攻撃したと認めているものの、ATACMSの使用には言及していない。
ウクライナ軍によると、この武器庫は国境から約100キロにあるカラチェフ町の近くにあった。12回の二次爆発が起きたとしている。
ジョー・バイデン米政権がATACMSをロシア国土攻撃に使用することを認めたという報道を受けて、ロシア政府は18日、そのような攻撃には「相応で具体的な反撃」で応じると表明していた。
ウクライナによる攻撃に先立ち、19日にはロシアのウラジーミル・プーチン大統領が、核兵器使用に関するドクトリン(核抑止力の国家政策指針)の改定を承認した。大統領が9月に提案した新ドクトリンは、核を持たない国が、核保有国の支援を受けている状態で、通常兵器やドローンや航空機を用いてロシアに大規模攻撃を加えた場合、ロシアは核兵器の使用を検討する可能性があると警告している。
19日はロシアによるウクライナ全面侵攻開始から1000日目にあたる。この日の朝、ウクライナのウォロディミル・ゼレンスキー大統領は欧州議会に向けて、「ロシアにいっそう圧力をかけるよう」呼びかけた。
ビデオリンクで演説したゼレンスキー大統領は欧州議会の特別会議を前に、「(プーチン氏に)時間を与えれば与えるほど、条件は悪化する」と述べ、プーチン大統領が自発的に侵略をやめることはあり得ないと警告。「公平な平和」実現に向けて、ロシアに圧力をかける必要があると強調した。
(英語記事 Ukraine fires US-supplied long range missiles into Russia, defence ministry says / Putin approves changes to Russia's nuclear doctrine / 'Push Russia harder' Zelensky urges allies on war's 1,000th day )