食生活や好みが変わりつつあるのだ。ガーナはブルキナファソより発展しているしなと記事を読んで思っていたのだが、ブルキナファソも例外ではない。「ブルキナファソの地元食の1つ=トー」と暗記のように頭に入っていたメニューだったが、彼らの生活も文化も日々動いているのだ、ということを妙に感じてしまった。変わることの良し悪しではなく、そうか、ブルキナファソもそういう過渡期にあるのだな、と。
私がブルキナファソでトーを始めてご馳走になったのは、ワガドゥグから西へ約300km行った場所にある村の農家だった。これから始めようとしているプロジェクトに向けて、いくつかの試験栽培に協力してくれている農家。
私は元々は農業分野の担当ではなかったので、少しでも早く農家の様子を理解しようと、日本から派遣されている専門家(農業分野のアドバイザー)に付いて、ある週末にその村を訪問した時だった。何カ所か回る予定が、その日は1軒目の農家で農作業を手伝う流れになり、試験栽培した稲を、農家夫婦と専門家と私の4人で黙々と夕方まで刈り取り、その数を数えた。農作業の合間に、ふかふかのあったかいトーと葉っぱのソースを振る舞ってくれ、有難くいただいた。彼らもいつかトーより他の食事を好むようになるのだろうか。
ササゲ試食会 人気の品種は…
食べ物の好みを知る興味深い機会があった。
トーと同じく近隣国含めブルキナファソでも多く食べられている主食にササゲ(マメ科の植物。豆を茹でて食べる)がある。数々の品種があり、粒の大きさ、色、味などがそれぞれ異なる。重要な主食の1つであり、栽培している農家も多い。どの品種をどのように育てれば良いのか、ササゲについても試験栽培を行い、栽培中もそれぞれの生育状況がどうなっているか、農地での研修などを専門家が行っていた。
収穫後、農家を集めて食味をする機会が設けられた。女性達がササゲを炊いてくれている間に、播種時期による収量の違いが発表され、熱心に聞き入る男性陣。その後、並んだササゲは7種類。試食の前に、それぞれの調理のし易さについて女性からの感想が述べられた。これは炊きあがりまでの時間が短い、これは薪が多く必要だったなどなど。